戦力外2度、制球難、独立L4球団… 元ドラ1右腕が挑む再生の道「諦めずよかった」

「投球の幅を広げるため」新球に挑戦「スプリットとツーシームの間のような」

 まだシーズンを通じて経験したことがない米球界だが、すでにいろいろな気付きを得たようだ。「(ストライク)ゾーンに投げられたら、ファウルだったり空振りを取れていた。真っ直ぐはしっかり腕を振って投げたら通用した」と、自分の強みは球威あるストレートであると再認識。ただし、それ以外は「足りないところばかりだったので」と苦笑いをしながら、「あと1つ変化球があれば、投球の幅が広がると思っています」と課題を語る。

「今、練習しているのは、変化球をもう1つ。ちょっと速いチェンジアップ系(の球)というか、スプリットとツーシームの間のようなボールを練習しています。腕を振って投げるボールですね。フォークはあるので、もう1つ加えられたらと思います」

 もともと最速160キロに達するストレートの他にも、スライダー、カーブ、チェンジアップ、フォークなど多彩な変化球を持つ。だが、ルーキーリーグとはいえ、パワーある打者たちと対戦する中で、スライダーと対になるようなボールがあれば、より効果的にアウトを重ねられると感じたようだ。練習中の新球はまだ実戦では試していないが、再び渡米する際には完成形に近付けておく予定だ。

 この春もルーキーリーグからスタートし、1A、2A、3Aとメジャーに続く階段を上がる予定だった。今季はマイナーリーグ自体がキャンセルされ、それも叶わぬこととなったが、その分、ここから古巣・栃木で実戦を通じて積み重ねることは大きな意味を持つ。

「全体にレベルアップして(アメリカに戻りたい)。去年だったら少しずつしか上がれないかもしれない。2つも3つも昇格したいので」

 2度の戦力外にイップス。大いに悩み、迷い、苦しんだ時期もあったが、最悪の時を脱し、今では自信を持ちながら明確な目標に向かって歩みを進めている。

「諦めずに続けてよかったなと思いました」

 北方が歩む再生の道は、野球に限らず、幅広い分野で躓きを感じている人にとって、心強い励みとなるはずだ。「そうなったらいいですね」。26歳右腕は照れくさそうに笑ったが、諦めない心と地道な努力が道を拓くことを、身をもって証明し続けていきたい。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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