DeNA、好機生かせず接戦落とす… “ラミ采配”も不発、惜敗で見えた不安要素

「これまでと変わらずその日、その日の試合に集中するだけ」

 さらに9回には、ソトの本塁打で1点差とした後、1死から宮崎がヒットで出塁。次打者は投手の武藤ということで、ラミレス監督はここで代打に柴田、そして代走に細川を起用した。中日のクローザーのR・マルティネスは150キロ後半の速球を武器に、この試合前まで防御率0点台と抜群の安定感を誇るが、走者を出してセットポジションとなり、さらにそちらに意識を向けさせれば、攻略の糸口はつかめる。

 細川は長打力だけでなく、俊足にも定評があるが、相手投手にプレッシャーをかけられる“代走の切り札”的な存在感はまだない。選手起用の是非が問われる場面だが、これはラミレス監督の采配の問題ではなく、走りのスペシャリストが不在で、機動力という点では劣る布陣になっているということだろう。

 さらに言えば、2死後に代打の乙坂が安打を放って一、二塁と一打同点となった場面で、ラミレス監督はこの日スタメンに抜擢した蝦名をそのまま打たせた。ベンチには一時期、指揮官が「代打の切り札」と評していた山下が残っていたが、若い蝦名の可能性にかけた期待値込みの判断は、結果的には失敗に終わった。

 変則日程の今季は、セ・リーグはクライマックスシリーズが行われず、優勝のみがポストシーズンへの道となるが、2試合連続1点差負けで首位巨人との10ゲームに広がった。それでもラミレス監督は「これまでと変わらずその日、その日の試合に集中するだけ」と信念を貫く姿勢を見せたが、残り試合での逆襲に不安も露呈した惜敗だった。

(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)

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