今秋ドラ1候補のトヨタ自動車・栗林 最速153キロ直球のこだわりを捨て得たものとは?
トヨタ自動車OBの中日吉見、日本ハム金子が目標「超えられるように」
名城大時代は最速153キロの直球に自信を持っていたが、プロの世界に目を向け、セールスポイントにはならないと悟った。「今はケガをしないことがセールスポイント。練習から100%の力を出すことを意識している」。今季はコロナ禍で公式戦が少ない中でのシーズンとなったが「試合は残りわずかなので、チームが勝って、自分もプロに行けたら嬉しい」と、気持ちは揺るがない。
目標とする選手はトヨタ自動車のOB、中日の吉見一起投手、日本ハムの金子弌大投手。「プロは夢なので、行きたい気持ちは変わらない。トヨタに入社して恩返しするために、チームのために腕を振って頑張った。トヨタ自動車には吉見さん、金子さんという偉大な先輩たちがいらっしゃるので、その人たちを超えられるように頑張りたい」と、声を弾ませる。
この日、ネット裏には12球団約30人のスカウトが訪れ、注目右腕に熱視線を送った。地元中日の米村明アマスカウトチーフは「2位で残る選手ではない。ミスショットはほとんどなく、きっちりコースに投げ分けていて、低めにしっかり投げている。1位候補にふさわしいピッチングだった。会社を背負うエースとして本大会に出るんだという、胸を張った投球だった」と絶賛した。
米村アマスカウトチーフは「大学の時は直球にこだわっていたけど、社会人になって変化球で三振が取れるようになり、制球力が良くなった」と、栗林のトヨタ自動車での2年間の成長を評価する。そして「社会人なので即戦力としていけるかどうか。(指名するかどうかは)大野、柳らがいる中で、開幕から確実に先発ローテに入って投げ続けられるかどうかの判断になる」と話した。
スタンドにはほかにも、阪神の畑山俊二アマスカウト統括、中日の松永幸男編成部部長、オリックスの福良淳一GM兼編成部長、西武の潮崎哲也編成グループディレクターら、編成部門やアマスカウト部門のトップ、幹部を含め、複数で視察に訪れた球団が目立った。
なお、トヨタ自動車は次戦は18日に三菱重工名古屋(名古屋市)と対戦する。
(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)