今シーズン唯一「8番・投手」を繰り出すDeNA ラミレス監督の意図と根拠は?
「僕はデータが8割、ひらめきが2割」と語るラミレス監督
実際、大貫の前回登板の13日・中日戦でこういう場面があった。4回の攻撃で1死一、二塁から、8番に入っていた大貫が捕手の前に送りバントを試みたが、二塁走者の戸柱が三塁封殺。結局試合に1点差で敗れたことから、ラミレス監督は同じ並びを避けたのだろう。
投手を8番に置く場合は、試合中の9番から1番への周りを重視し、チーム屈指の強打者で打率.311、14本塁打をマークしている1番・梶谷へ効果的につなげる意図があるとみられるが、相手投手、味方の選手の調子、戸柱を中心に3人を併用しているスタメン捕手の人選などによって、細かく使い分けている。今季これまでに野手で9番を打ったのは、戸柱が11度、自打球を左膝に当てて現在登録抹消中の大和が10度、倉本が5度、乙坂、柴田、中井、神里が1度。
18日の1戦目では、投手の井納は9番に置かれた。2回無死一、二塁から、6番・中井の送りバントで二、三塁とし、続く7番・倉本の右前2点適時打で先制に成功した。もし井納が8番にいたら、倉本は四球で歩かされる可能性が高く、中井に送らせる作戦は取りにくかったのではないだろうか。
球界関係者の間には「8番・投手がナンセンスであることは、日本プロ野球の長い歴史の中で既に実証されているよ」といぶかる声もある。「僕はデータが8割、ひらめきが2割」と語るラミレス監督のユニークな采配が、野球ファンと関係者の興味をそそり、議論を盛り上げていることは間違いない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)