トミー・ジョン手術は「何回でも大丈夫」も…肘の権威が語る「人工物」のリスク

「自分の関節の動くところに固い人工物を入れたら、どこかしら摩耗してきます」

 もちろん、靭帯損傷という大怪我を何度も負わないに越したことはないが、手術後に同じ負傷を重ねたからといって、復帰への道が閉ざされることはないというのだ。

 一方で、古島医師は靭帯ではなくて人工物を使って負傷箇所の修復を図ることにはリスクがあると指摘する。藪氏の「自分の靭帯の代わりに人工物、例えばワイヤーシリコンなどを使って、リハビリ期間を少しでも短くするようなこともやっていると思うんですけど……」という疑問に対して、古島医師は「補強みたいな感じで使うこともありますが……」と前置きした上でこう続けた。

「自分の関節の動くところに固い人工物を入れたら、どこかしら摩耗してきますよね。昔、膝の靱帯の治療には人工の靱帯を使うこともありました。それが今では、もう全く使われなくなってしまった。爆発的に流行って4、5年くらい使われていた時期がありましたが、やっぱりどんどん骨の穴が削れて大きくなってしまう。人工靱帯は固いけれど伸び縮みもしないので、長い年月が経つと骨がこすれて削れてしまいます。だから、軽い靱帯損傷に対して補強で使うことはありますが、断裂した場合にはほとんど使いません」

 負傷した選手を復帰へと導くために、医療現場での努力も日々、続いている。また、まずは肩や肘を故障しないための取り組みも近年は盛んに行われており、特に成長段階での体の酷使は問題視されている。古島医師は、育成年代の選手の負傷を防ぐために様々な活動に取り組んでおり、10月10日からは全6回のコースで行う全6回のオンラインサロン「開講! 古島アカデミー」第1期をスタート。野球に励む小中学生の指導者・保護者を対象に、子どもたちを怪我から守るための基礎知識を分かりやすくレクチャーする予定だ。スポーツに負傷はつきものだが、選手を守るための“声”を発信し続けている。

【受講者募集中】
「Full-Count」では、10月10日(土)19時より全6回のコースで行うオンラインサロン「開講! 古島アカデミー」第1期(全6回)をスタートさせます。古島医師を講師にお招きし、野球に励む小中学生の指導者・保護者の皆さんに、子どもたちを怪我から守るための基礎知識を分かりやすくレクチャー。イベント詳細は下記URLをご覧下さい。

Full-Count Presents オンラインサロン「開講! 古島アカデミー」第1期(全6回) 肘治療の権威・古島医師から学ぶ、子どもに故障させない野球の基礎知識(仮)受講者大募集

(Full-Count編集部)

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