阪神・藤浪の成長に欠かせない梅野のサポート 沢村賞右腕が提案する助言とは
川崎氏が評価するウィーラーへの初球「右打者を相手に、あのボールでストライクは…」
1点差だった試合の行方を決めた場面ではあったが、藤浪にとって「決してマイナス要素だけではなかった」と川崎氏は分析する。
「これまでの藤浪投手だったら、ストライクゾーンにまとめる制球は難しかったでしょう。それができるようになったのは、中継ぎとして短いイニングで思いきり腕を振って投げ抑える経験を重ねたから。藤浪投手が打たれる時、ストレートはシュート回転をする傾向にあります。でも、6回にウィーラーの打席で投げた初球、外角いっぱいに決まった159キロのストレートはシュート回転せずに伸びる球でした。右打者を相手に、あのボールでストライクを取った意味は大きいと思います。ああいう球をもっと投げられるようになるといいですよね」
それでは、どうすれば思い切った球を投げ込むことができるようになるのか。川崎氏は「投球間隔を長く空けない方がいい」とアドバイスを送る。
「1球1球、投げる間隔があくと、その間にロジンバックを触ったり、プレートの土を払ったりしながら、いろいろなことを考えてしまうんだと思います。元々、藤浪投手はストレート、スライダー、フォークなど持っている球はどれも素晴らしい。余計なことを考えず、選んだ球をどんどん投げ込めばいいと思います。コントロールもピンポイントではなく『大体の場所にいけばいい』くらいに構えておいた方がいいでしょう」
テンポよく、余計なことを考えずに投げるには、バッテリーを組む梅野隆太郎のサポートも必要だ。
「梅野捕手も考えさせないことを意識して、多少強引でもジェスチャーで示しながら、どんどん投げるように要求すればいい。そういう経験を重ねるうちに、考え込まずに投げる習慣がついて、テンポのいいピッチングになると思いますよ」
ここ数年、制球難を含めて試行錯誤が続く藤浪だが、リリーフとしてマウンドに上がるようになってから、何か変化が生まれているようにも見える。チャンスを逃さず、どんな小さなことでも成長のきっかけに繋げたい。
(佐藤直子 / Naoko Sato)