目を引く巨人岡本、DeNA梶谷、中日大野雄…セイバーで見る9月のセ月間MVPは?

中日・大野雄大【写真:福谷佑介】
中日・大野雄大【写真:福谷佑介】

大野雄は3勝全てが完封勝利、RSAAも群を抜く指標を叩き出す

 投手評価には、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標RSAA(FIPベース)を用います。各チームのRSAA上位3名は以下の通り。

巨人 菅野智之5.43 メルセデス2.27 中川皓太1.87
DeNA 石田健大5.91 三嶋一輝2.18 エスコバー2.21
阪神 高橋遥人4.73 西勇輝3.61 岩貞祐太2.67
広島 フランスア3.64 ケムナ誠2.79 森下暢仁0.68
中日 大野雄大10.65 福谷浩司6.71 R.マルティネス2.24
ヤクルト 石山泰稚3.66 マクガフ2.61 スアレス1.94

 公式の月間MVPは2か月連続で菅野でしたが、8月に限れば、3試合全てで完投勝利だった中日・大野雄も有力な候補だったのではないでしょうか。大野雄は7月31日から9月1日まで5試合連続で完投勝利という球団記録を更新する活躍を見せました。その最初の試合か最後の試合が8月中であれば情勢は変わったように思われます。

 6試合連続完投勝利をかけた9月8日の試合は巨人戦。しかも相手は菅野でした。大野雄は9回2失点とハイクオリティスタートを記録して6試合連続完投は達成しましたが、味方打線が菅野の前に沈黙して援護はなし。敗戦投手となっていまいました。

 9月15日の登板では4回71球4失点と今季最短降板となってしまいましたが、9月1日、9月22日、9月30日にあげた勝利が全て完封勝利というかなりインパクトが強い記録を残してきました。結果的には3勝2敗という成績ではありますが、セイバーメトリクスの観点からも大きくチームの勝利に貢献しています。

 よって9月のセイバーメトリクス指標による投手部門のMVPは大野雄大と言えるのではないでしょうか。

大野雄大(中日)RSAA10.65
防御率1.35 奪三振42 WHIP0.53 被打率.130 K/BB 10.5(リーグ1位)
奪三振率9.45(リーグ2位)
被本塁打1 QS率80% HQS率80%
※3勝全てが完封勝利

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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