ドラフト指名なら“日本人最長身” 札幌大谷の身長2メートル左腕が秘める可能性
春までは大学進学を目指すも「冬のトレーニングの成果でだいぶ伸びた」
ダイナミックなフォームだけに、制球にバラつきがあるように見られがちだが「元々、コントールは悪くないんです」と船尾監督は言う。変化球もスライダー、カーブ、フォークを操る。直球に関しては3年間、右打者への内角を徹底して練習してきた。阿部は「インコースには投げられるのですが、それだけでは上では通じないので、今は外のストレートの精度を高めることを目指しています」と次のステップに入り、現在も週3回ブルペンに入っている。
指揮官が阿部の成長を実感するのは、ランニングする姿だという。「最初は走っている姿が左右にブレて不格好だったんですよ。今見ると、成長したなって。うちの学校は練習時間が2時間半と私立では短い方。それでもここまで成長できたんだから、朝から野球ができる環境になれば、成長のスピードは速いと思います」と将来の大化けを期待する。
高校で150キロ到達を目指していた阿部は、今春まで大学進学も視野に入れていた。「コロナの前までは進学しようと思っていました。(コロナによる部活動)自粛中にキャッチボールをした時に、冬のトレーニングの成果でだいぶ伸びたと実感し、志望届を出そうと決めました」という。今夏の甲子園に出場して自信をつけてから志望届提出という思い描いていたストーリーは実現しなかったが、今夏の南北海道大会では北海戦で5回6安打1失点と好投するなど、上の舞台でやっていくための手応えをつかんだ。
地元の日本ハムなど4球団から調査書が届いている。「指名されるか分かりませんが、それを前提に毎日練習しています。期待と不安両方ありますが、待つだけです」と阿部。育成でも指名されれば、迷わずプロの世界に飛び込むつもりだ。
「今はしっかり制球力をつけて、スピードも速くなるように頑張っているところです。筋力的にまだ弱いので、スクワットやランジやメディシンボールで下半身を中心に鍛えています」。将来を見据えながら、2009年に創部した同校から初の指名を静かに待つ。