同点被弾の鷹バッテリーは「意思確認が取れていたか」 元参謀が指摘する痛恨の1球
3点リードの7回2死一、三塁。石川は甘く入ったカーブを山川に捉えられ同点3ランを浴びる
■西武 4-4 ソフトバンク(8日・メットライフ)
ソフトバンクは8日、敵地での西武戦を4-4で引き分け。3点リードの7回に先発・石川が痛恨の同点3ランを浴び白星を逃した形となった。元オリックス監督でソフトバンクでは王監督の参謀役、巨人、中日でも名コーチとして知られた森脇浩司氏は「これまで有効に使っていたが完璧ではなかった」と山川に浴びた“1球”に注目した。
先発の石川は決して絶好調ではなかったが6回まで西武打線を1点に抑える粘投。3点リードの7回に大きな山場が訪れた。先頭の森に内野安打、2死からスパンジェンバーグに右前打を浴び一、三塁のピンチを背負い山川を迎えた。初球は143キロの直球がやや甘めに入りファウル。そして2球目、高めに浮いたカーブを捉えられ同点3ランを浴びた。
「あの場面でカーブを選択したことは決して間違いではない。ここまでタイミングを外し、目先を変える球として“有効”に使っていたが決して完璧な球種ではなかった。従って、手痛い一打を食らうとしたらカーブと見ていた。高くきたカーブはそう逃してくれない」
今季は不振でスタメンを外れるなど本調子ではない山川だが、2年連続で本塁打王を獲得している主砲には痛い失投だった。石川の代名詞といえるパワーカーブ。この日はカウントを整えるボールとしては有効だったが、フォーク、スライダー気味の小さい変化で源田、金子から3併殺を奪うなど選択肢は多くあった。森脇氏もバッテリーの“準備”に注目した。
「石川自身が本当に勝負所で、一発長打を打たれないために。厳しい勝負はいつも大胆さと繊細さが求められる。カーブを投げる時にここだけはという意思確認が甲斐とできていたのだろうか。初球のストレートも外構えで真中に入り危険な球だったが、助かっただけにはっきりと出ていたシグナルを逃さない手はなかった。
高めのカーブは、さすがに不振の山川といえどもタイトルホルダーは逃してくれない。シーズン終盤、優勝争いの中で『ここでは何をするべき』『これだけはやっちゃいかん』という部分は今まで以上に必要になってくる。厳しい勝負はいつも大胆さと繊細さが求められる。それは、臆病になることではなく覚悟を決めること、所謂、勝負心を持つことだと思っている。今日のゲームも石川だけでなく、攻守でホークスの伸びしろを沢山感じることが出来た。本当に楽しみなチームだ」
ソフトバンクは8回からモイネロ、森、高橋礼とピンチを背負いながらも何とか凌ぎ引き分けに持ち込んだ。森脇氏は「こういったシーズン終盤で相手がゲームのない日に勝つことは鉄則。この日の引き分けが痛かったのか、負けなくてよかったのかは論ずる必要はなく、ペナントレースが終わった時にしか分からない。それほどの激闘を期待したいし、激しいものになるだろう」と指摘する。
ホークスは9日から本拠地でゲーム差1のロッテと首位攻防戦が始まる。今季はここまで対ロッテ戦は4勝10敗1分けと大きく負け越しているだけに、勝負所での1つのミスは命取りになる可能性もある。シーズンを占う直接対決でバッテリーの“準備”の必要性は重要になってくる。