世界70か国以上で競技者急増中 手打ち野球の進化版「Baseball5」とは?

打者が自分でトスしたボールを手で打つことからプレーが始まる「Baseball5」【写真提供:WBSC】
打者が自分でトスしたボールを手で打つことからプレーが始まる「Baseball5」【写真提供:WBSC】

WBSC公認インストラクターの女子野球・六角彩子が語る魅力と可能性

 2018年、野球とソフトボールに新たな仲間が加わった。それが新感覚の都市型スポーツ「Baseball5(ベースボール・ファイブ)」だ。

 キューバの街中で楽しまれていた「クアトロ・エスキーナ」という手打ち野球の進化版で、ボール1つあればバットもグローブも必要なし。1チーム5人で、その内訳は男子2人、女子2人、残りの1人は男女どちらでも可。試合は5イニング制で、3アウトで攻守交代という基本ルールは変わらない。

 一般的に知られている手打ち野球との大きな違いは、投手がいないこと。選手5人は全員が野手で、一塁、二塁、三塁、遊撃に、ミッドフィルダーが加わる。打者が手で打つのは、前から飛んで来るボールではなく、自分でトスしたボールだ。ボールを打った後は野球やソフトボールと同じ。一塁、二塁、三塁と周り、ホームを踏めば得点となる。

 場所を選ばず、手軽に楽しめる競技でもある。本塁から外野フェンスまでの両翼18メートルのフィールドに、3メートル四方の打席が加わるため、合計21メートル四方のエリアが確保できれば、街中のストリート上でも、ショッピングモールの広場でも、収穫が終わった後の畑でも、屋内外問わずにプレーできる。

 専用のユニホームや道具、球場の確保が必要ないため、これまで野球やソフトボールになじみのない人や地域への普及を目指して、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が第3の競技として取り入れた。バスケットボールが手軽に楽しめる3on3で若い世代に広まったように、都市型のストリートスポーツとしての定着を目指している。

 日本に紹介されたのは2019年初めのこと。まだ、誕生まもない新感覚スポーツが持つ魅力と可能性について、WBSC公認インストラクターで女子野球日本代表の六角彩子選手(埼玉西武ライオンズ・レディース)に聞いた。

「メチャクチャ面白いと思いました」

 昨年1月、初めてBaseball5を知った時、すぐに野球にはないスピード感と手軽さに惹かれたという。

「試合時間が本当に短いんです。野球だったら2時間、3時間は普通に試合が続きますけど、Baseball5は20分もあれば1試合終わっちゃうくらい。バッターが自分でトスした球を打つだけなんで空振りはほとんどないし、フェアゾーンの中にゴロを打たないといけないから、試合が止まらずにドンドン動いていくんです。こういうスピード感はやっている人はもちろん、見ている人も楽しいですよね」

 打球はホームから13メートル四方の内野でバウンドさせる必要があり、ホームランは存在しない。フェアゾーンであっても外野フェンスを直撃したり越えたりしたらアウト。ファウルゾーンに直接飛んだ球もアウトで、空振りもアウトになる。打順は次から次に回ってくるし、攻守交代が早い。

ボール1つでできる手軽さ、日立市の中学校では体育の授業で採用

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