世界70か国以上で競技者急増中 手打ち野球の進化版「Baseball5」とは?

キューバで講習を受け、公認インストラクターとなった六角【写真提供:WBSC】
キューバで講習を受け、公認インストラクターとなった六角【写真提供:WBSC】

ボール1つでできる手軽さ、日立市の中学校では体育の授業で採用

 野球やソフトボールの敷居を高くしていた高価な道具もいらない。必要なのはBaseball5専用の小ぶりな柔らかいボールだけ。これもなかったら硬式テニスボールやゴムボールで代用可能。野球のような専用グラウンドもいらない。公式試合ではなく遊び感覚で楽しむだけであれば、13メートル四方の内野スペースが確保できれば、どこでもいい。

「ボール1つあればできるっていう、サッカーみたいな手軽さがいいですよね。場所も狭くていいし、どこでもできる。野球を全然知らない人でも、子どもでもお年寄りでも、女子でも男子でも誰でもできる。サッカーが世界的に広まったのは、そういった簡易的なところでもあったりするので」

 こうした垣根の低さが受けて、今までなかなか野球が浸透しなかったアフリカ大陸でも、Baseball5の人気は急速に拡大中。2026年にセネガルのダカールで開催されるユースオリンピックの追加種目にもなり、野球やソフトボールに変わるオリンピック競技としての期待も高まる。

 アジア大陸担当の公認インストラクターとして、マレーシアで指導者を対象としたセミナーにも出席したが、そこでの反応もポジティブなものばかりだったという。

「シンガポールやインドネシアなど近隣の国も含めた指導者の方にセミナーをしたら、皆さん、本当に面白がってくれるんですよね。日本でも、イベントを通じて少年野球をする子どもたちに教える機会があったんですけど、やり方を説明すれば、誰でもすぐに試合ができちゃう。しかも、意外と監督やコーチ、保護者といった大人の方が盛り上がったりもするんですよ(笑)。子どもも大人も関係なく『すごく楽しかった』という声が聞こえるのが、すごくうれしいし、いいことだなって思います」

 世界がコロナ禍に見舞われる前、今年1月には生まれ育った茨城県日立市で開催されたイベントに出席し、Baseball5の魅力を伝えた。ここでも年齢や性別を問わず、誰もがすぐに熱中する姿を見せてくれた。すると8月頃、こんなうれしい知らせが届いた。

「日立市の中学校では、全学年で体育の授業にBaseball5を取り入れてくれることになったんです。すごくうれしかったですね。道具はボールだけだから安全だし、試合時間が短いから授業時間内に十分楽しめる。野球やソフトボールのいいところでもあるんですけど、Baseball5も一人一人必ず打席が回ってくるので、みんなが主役になって活躍できるチャンスがあるんです。ボールを一度も触らずに終わりました、ということはなくて、誰もが輝ける場がある。そこは教育という点から考えても、とてもいいんじゃないかと思います」

男女混合やストリートの新感覚で、伝統や歴史という「野球のイメージを変えたい」

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