ドラ1候補・栗林良吏のフォークは「マー君みたい」 元鷹捕手が絶賛する勝負球

トヨタ自動車・細山田武史【写真:荒川祐史】
トヨタ自動車・細山田武史【写真:荒川祐史】

「マーくんの時は直球かと思って振ったら消えたが、栗林のフォークはそんな感じ。それくらい落ちる」

 縦振りのフォームから繰り出されるフォークも140キロを超える。軌道もバリエーションがあり、特に右打者に有効なのだという。「ソフトバンクの千賀滉大ほどお化けフォークではないですが、千賀のちょっと落差がないバージョン。球速的にはスプリットみたいで、右打者の内角にギュンと落ちるので、空振りが取れる。真っ直ぐに落ちたり、斜めにスッと落ちたりして、軌道は1種類ではない。フォークでストライクも取れるし、ストライクゾーンからボールゾーンに落とすこともできます」

 そのフォークは、打席に立った印象では「マーくん(ヤンキース・田中将大投手)のスプリットみたいな感じ」だという。細山田は「(当時楽天にいた)マーくんの時は直球かと思って振ったら消えたが、栗林のフォークはそんな感じ。それくらい落ちる。三振が取りたい時に1球で三振が取れるボールです」と絶賛する。

 ソフトバンクでは、千賀、東浜、和田、武田、石川ら数多くの優秀な先発陣の球を見てきた細山田は「ホークスの投手はレベルが高いと思ったけど、栗林もそのレベルだと思う。受けた感じでは、ホークスの先発陣の中に入ってもあまり見劣りしないと思う」と話す。「直球はちゃんと指にかかっている時のキレは千賀くらいあると思う。球速はあそこまでないが、パーンと叩いているし、プロでもいけそうな気がする。絶対にローテで投げるでしょうね。直球はえげつなく速く、総合力も高いので、先発だけでなく、後ろでも投げられると思います」。

 18年にはドラフト4位で富山凌雅投手がオリックス入り。栗林がプロに入れば、細山田がトヨタ自動車に入社してから、ブルペンでアドバイスを送ってきた投手2人目のプロ誕生となる。

「もちろん富山のことも応援していますし、後輩がプロに行くのは嬉しいこと。栗林も真面目な選手ですし、いい環境で頑張って欲しいですね」

 将来を考え、若手捕手を育成しなければならないチーム事情もあり、今年はまだ公式戦出場はないが、どっしりと構えてブルペンで投手陣を支えている細山田。元プロ選手として、そしてチームを支えるベテラン捕手として、細山田は親心を持って、栗林のプロ入りが決まる日を待ちわびている。

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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