6年前からの数奇な縁 ロッテ1位・鈴木、楽天2位・高田の法大2投手が歩んだ同じ道
来年は違うユニホームでプレー、同じパ・リーグでもし投げ合ったら…
「自分がやるべきことをやっていなかったなと思えました。練習ってサボるのは簡単。ちょっと手を抜いてしまいそうになった時、高田を見ると、一切、手を抜いていなかった。同じ投手メニューをこなしていたので、これでは負けてしまうな、と。それがモチベーションに変わりました」
鈴木は気持ちを表に出すタイプで、高田は胸に秘めるタイプ。互いに自分の持っていない「良さ」に気づき、リスペクトしあうようになっていった。高田は鈴木に直接、伝えたことはないが「マウンドで感情を出して向かっていけるメンタルの強さ」「打者を見ながら投球ができるところ」など、羨ましく感じていたという。
3年生になり、2人は初めて、一緒にベンチ入り。4年生になると鈴木が投手リーダー、高田がサブリーダーとなり、投手陣を引っ張った。グラウンドだけでは足りず、時には寮の部屋でチームが勝つためにはどうすればいいかを話し込んだ。気分転換に鈴木が高田の部屋へ、用もなく入り浸ったこともあった。過去には休日に映画を2人で見に行ったこともある。かけがえのない時間が2人の成長を後押しした。
鈴木は照れくさそうに、高田に言った。「ここまで高いモチベーションを保ってこられたのは高田のおかげだと思っている。“ありがとう”、じゃないけれど、これからも一緒に頑張っていけたらと思っている」。一方、高田は鈴木に「高校の関東大会で負け、大学で4年間一緒にやった。カードの1戦目を(鈴木)昭汰に取られた時は悔しかったけど、この野郎!とは思わなかった。野球への取り組み方や結果を見ていれば、納得した。これからも見習ってきたいなと思う」。ドラフト会議を約1週間後に控えた頃の出来事。お互いが初めて、本音をぶつけ合った。
来年は違うユニホームで別々の道を歩むも、パ・リーグという同じフィールドで対戦する。もしも、お互いが投げあうとしたら「無茶苦茶、意識すると思う」と声を揃えた。鈴木が指名されたロッテの本拠地は、あの時、2人が投げ合った場所。野球の神様はもしかしたら、同じ場所を用意するのではないだろうか。
同じ道を歩んだ4年間は終わろうとしている。ただ、2人だけの物語はいつまでも続いていく。
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)