11試合連続盗塁は“脚力”だけにあらず 鷹・周東佑京の記録にある本当の凄さ

福本氏から言われた助言「走りたいなら塁に出ろ」

 8月末の段階で周東の打率は.208だった。だが、9月に入り、一気にその数字を上げていった。9月の月間打率は24試合で.307、出塁率は.346を記録。10月もここまで打率.306、出塁率は前月を上回る.358を記録。連続で盗塁を決めた11試合は46打数15安打で打率.326をマークし、5つの四球も選んでいる。

 周東自身も28日の試合後に「それだけよく塁に出れたな、と思います」と言う。記録を持つ福本豊氏からは対談した際に「走りたいなら塁に出ろ」と言われたという。福本氏は通算2543安打を放ち、3割超が7度、最多安打を4度記録した大打者でもあり、周東自身も「どうやったら塁に出られるかを考えるようになりました」という。

 この日の出塁は走者を一塁に置いた状態での内野ゴロ併殺崩れだった。ただ、周東は「最悪あの形でもいいな、とずっとシーズン通して思っている」。内野ゴロでも併殺にさえならなければ、自身の盗塁で再び得点圏に走者を置ける。犠打を決めたのと同じようなもので「萎縮せず、楽な気持ちでいけています」と精神面でもプラスに働いている。

「世界の盗塁王」と称された福本氏のことを「憧れでもなんでもないです。本当に無理、異次元です」と語るが、その福本氏の記録を塗り替えるチャンスが目の前にある。12試合連続盗塁のプロ野球新記録はなるか。29日のロッテ戦に向けて「チャンスだな、と。それだけです」と静かに意欲を滲ませていた。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY