西武スパンジェンバーグがCS進出の使者? 辻監督の評価上昇中「ダメかなと思うと打つ」

西武のコーリー・スパンジェンバーグ【写真:宮脇広久】
西武のコーリー・スパンジェンバーグ【写真:宮脇広久】

4番と9番以外の全打順こなし、守備も内外野万能

■西武 10-3 日本ハム(4日・メットライフ)

 西武は4日、メットライフドームでの今季本拠地最終戦で日本ハムに10-3と大勝。ロッテに1ゲーム差をつけて単独2位に浮上し、残り4試合でクライマックスシリーズ(CS)進出へ大きく前進した。来日1年目のコーリー・スパンジェンバーグ外野手が2試合連発の15号3ランを含め2安打4打点と活躍した。

 今季の西武は8、9月には主に5位を低迷。借金は最大8まで膨れ、今季のCS出場は絶望的にも思えた。しかし、ここ数年チームの持ち味となっているシーズン終盤のラストスパートが、今季も炸裂。ロッテが新型コロナウイルス感染による選手の大量離脱などで失速したこともあって、一気に抜き去った。58勝55敗3分で、貯金を今季最大の3としている。辻発彦監督は「10、11月の選手たちのすごい頑張りでこの位置まで来た」と称える。

 特に「スパンジー」の呼び名が定着したスパンジェンバーグが、ここにきて俄然存在感を増している。前日の同カードでは「7番・左翼」で出場し、同点の4回に勝ち越し14号ソロ、いったん逆転されて迎えた6回には同点左犠飛を放ち、逆転勝ちにつなげた。そして「6番・三塁」のこの日も、1回に右前適時打、2回には右越え15号3ランの働きだ。

 前日はまだ「ホント、彼はつかみどころがない選手だ。ダメかな、と思うと打つ」と半信半疑だった辻監督も、この日は「ちゃんとコンタクトした時の打球の速さ、強さは凄いものある。それはわかっている」と評価を上げた。

 15本塁打は、山川の24本に次いでチーム2位。55打点も山川、栗山に次いで3位。山川が右足首の故障で戦列を離れ、CSに進出できたとしても出場は「難しいと思う」(辻監督)という現状では、スパンジーの長打力は貴重だ。

 しかも、使い勝手がいい。今季、4番と9番以外の全ての打順をこなしている。守備も「内、外野どこでも守れる」との触れ込み通り、試合途中の守備位置変更を含めると、左翼で72試合、三塁で51試合、右翼で2試合に出場。辻監督からは「外野守備にはちょっと不安もあるが、内野としては動きがいい。足も速いし、もっと日本の野球にアジャストして、選球眼ができてくれば、さらにいい選手になれる」と、来季残留へ前向きな発言も飛び出した。

 2017年にはメジャーで129試合に出場した実績があるが、試合前にベテランの栗山らに積極的にアドバイスを求めるなど、日本に溶け込もうとする姿勢は実に謙虚。残り4試合とその後の短期決戦でも、しっかり爪痕を残したいところだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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