引退の中日・吉見、最後も“精密機械”で三振斬り 捕手のミット微動だにせず
中日の黄金期支えた一方、度重なる手術を乗り越えてきた
■中日 – ヤクルト(6日・ナゴヤドーム)
今季限りで現役を引退する中日の吉見一起投手が6日、ナゴヤドームでのヤクルト戦に先発。引退マウンドで打者1人を、外角低めの直球で空振り三振に仕留めた。
先頭に山崎を迎えた吉見は初球から抜群のコントロールで追い込むと、1球ボールを挟んで4球目に外角の直球で空振り三振に。直後、笑顔を見せ脱帽して深々と一礼すると、同い年であるヤクルトの森岡内野守備走塁コーチと、大野雄から花束を受け取り、感謝を伝えるように右手でプレートに触れてベンチに戻った。
吉見はトヨタ自動車から2006年に大学生・社会人ドラフトの希望枠で中日に入団。08年から5年連続で2桁勝利を挙げ、11年には18勝を挙げて最優秀防御率と最多勝の2冠に輝き、リーグ連覇に貢献した。一方で、相次ぐ肘や肩の故障にも見舞われ、度重なる手術を乗り越えながらマウンドに立ってきた。
今季は開幕ローテ入りするも、この日まで4試合で1勝2敗、防御率5.71。今月1日に引退を表明した。抜群のコントロールから「精密機械」と呼ばれた右腕。この日まで通算222試合登板で90勝56敗、防御率2.94。チームの黄金期を牽引し、その後の低迷期をもがきながらも支えた36歳が、223試合目のマウンドで現役に別れを告げた。