打った本人も三塁コーチャーも涙 「今世紀最大の試合」呼んだ早大9回2死逆転弾の裏側

早大・小宮山悟監督【写真:荒川祐史】
早大・小宮山悟監督【写真:荒川祐史】

小宮山監督「今日の試合が人生で一番感動」「今世紀最大のゲームと言っていい」

 殊勲の2年生は、試合後の会見も涙、涙だった。

 監督と確認した外角直球狙いにもかかわらず、スライダーを打ったことについては「体が勝手に反応した」と回顧。直前でスイッチした生井についても「春に満塁の場面で見逃し三振をしていて、それが本当に屈辱的で……。左投手もリーグ戦を通して全然打てなくて、あの三振があったからこそ、最後は割り切って思い切り踏み込む意識でやった。それがああいう風になった」と振り返った。そして、4年生の話題になると声を詰まらせた。

「4年生たちがデータとかも本当にやってくれて感謝しかなかったので……最後に一本打てて良かったです」

 日陰の役回りもチームのために率先して買って出た最上級生たちの献身に報いる逆転弾。「自分のために」ではなく「誰かのために」を思えるものがある組織は強い。それを証明するような試合だった。

 プロ野球、メジャーを経験した指揮官が「野球で長いことメシを食ってきたけど、今日の試合が人生で一番感動した。素晴らしかった」と言い、最後には「ひょっとしたら、今世紀最大のゲームと言ってもいいくらい」とまで評した早慶戦。「早稲田の歴史ある伝統を『一球入魂』の魂を持って継承していきたい」と語った背番号29によって、10季ぶりの天皇杯がもたらされた。

(Full-Count編集部)

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