異例の「取締役GM兼監督」 数字から見る楽天・石井一久監督が解決すべき課題とは?

打撃成績はリーグ屈指も、響いた太田光の戦線離脱

 ソフトバンクにとっての楽天、日本ハム、オリックスのような“お得意様”を、ロッテ以外に作れなかったのは痛かった。勝てる相手に取りこぼさない、という手堅い戦い方はリーグ優勝に向けて必須な要素となるだろう。

 今季の楽天はチーム打率.258、チーム得点557はリーグトップ、チーム本塁打112本はリーグ2位と攻撃力は申し分なかった。長打率も、出塁率もリーグトップだ。強いて言えば、盗塁数67個がリーグ最少、盗塁企図数もリーグ最少だったため、機動力はもう少し使いたいところか。

 一方で許盗塁数は日本ハムに次いで多い91個を許している。盗塁阻止は30個で、チーム全体の阻止率は24.8%。これはリーグワーストの数字となっている。ただ、太田光捕手は盗塁阻止率.333でリーグトップ。太田は9月2日に登録抹消、同14日に再登録されたが、同27日に左肩関節唇損傷で再び離脱。太田が戦線を離れた9月以降、チーム成績が下がった。しっかりとした扇の要となる存在、そして正捕手の離脱を補えるだけの第2捕手の育成も必要か。

 そして楽天最大の課題は投手力だ。チーム防御率4.19はリーグ5位。西武の4.28と大きな差はなく、リーグ優勝したソフトバンクとは1点以上の開きがある。先発陣の防御率4.19は西武に次ぐリーグ5位、救援防御率はオリックスに次ぐこちらもリーグ5位と、課題であることは明白だ。

 先発陣ではトレードで獲得した涌井秀章投手が史上初の3球団最多勝となる11勝をマークしたものの、岸孝之投手と則本昂大投手の成績が思ったほど伸びず。出遅れた岸はシーズン中に2か月ほどの離脱もあった。7勝0敗と負けなしでシーズンを終えたものの、登板は11試合止まり。則本昂も一時離脱があり、18試合で5勝7敗に終わった。この2人が本来の成績であれば、また状況も変わったかもしれない。

絶対的守護神の不在、リリーフ陣の脆さで増えた逆転負け

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