「あの盗塁失敗で流れが一気に傾いた」 元鷹コーチが分析する両軍の思惑とは?

4回にロッテ・藤原恭大が二盗に失敗した【写真:荒川祐史】
4回にロッテ・藤原恭大が二盗に失敗した【写真:荒川祐史】

「変化球なら盗塁成功、ストライクならゴロを打って1点は入っていた」

■ソフトバンク 6-4 ロッテ(CS・15日・PayPayドーム)

 ソフトバンクは15日、本拠地PayPayドームで行われた「パーソル クライマックスシリーズ パ」第2戦でロッテに6-4で逆転勝ちし、4年連続日本シリーズ進出を決めた。現役時代は1992年に盗塁王に輝いた快足外野手で、昨年まで5年間ソフトバンクのコーチを務めた飯田哲也氏は、勝敗の分かれ目は4回、ロッテ・藤原恭大外野手が二盗に失敗した場面にあったと見る。

 ロッテは3-2と1点リードして迎えた4回の攻撃で、1死一、三塁のチャンス。相手先発の東浜は既に1回に3点を奪われており、KO寸前の状態だった。ここで打席に入っていた3番・清田のカウント2-2からの5球目に、一塁走者の藤原がスタート。しかし、相手捕手・甲斐の送球に悠々タッチアウトとなってしまった。結局この回に追加点を奪えなかったことが祟り、その裏に中村晃に逆転2ラン、松田宣にもソロを浴びた。

「あの盗塁失敗で、流れが一気にソフトバンクに傾いた」と飯田氏。「打席の清田のカウントは2-2の“変化球カウント”でしたから、ロッテベンチが二盗を指示したのも無理はない。実際、変化球であれば盗塁は成功していたと思う。また、ストライクであれば、清田はゴロさえ打てば併殺はないので、少なくとも1点は入っていただろう」と解説する。

 ところが、東浜の投球は外角高めに外れるボール球のストレートだった。甲斐にとっては最も送球しやすいコースであり、“甲斐キャノン”が存分に威力を発揮したのだった。ロッテにとっては、比較的リスクの少ないはずの作戦だったが、完全に読みを外された。

 飯田氏は「東浜があのカウントから、あのコースに狙って投げたとは思えない。おそらく外角低めとか、違うコースに投げるつもりだったのだと思うが、結果的にコントロールミスが幸いした」と見る。もちろん、球界屈指の甲斐の強肩があったからこそ生まれたシーンでもある。たった1球のボール球が試合の流れと日本シリーズ出場権の行方を決めてしまったのだから、野球はやはり怖い。

【動画】昨年までソフトバンクでコーチを務めた飯田氏が勝負の分かれ目と指摘 ロッテ藤原を刺した甲斐キャノンの実際の映像

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