ロッテ1位の鈴木が母校・常総学院に凱旋報告 恩師が思い出した「取らせた責任」
同校初のドラフト1位でプロ入り 佐々木力前監督も喜ぶ
ロッテからドラフト1位指名を受けた法大・鈴木昭汰投手が19日、母校の茨城・常総学院を表敬訪問。櫻井平理事長、佐々木力前監督らに挨拶し、指名を報告した。左腕は3年間過ごした学舎に足を踏み入れ、高校時代を回想した。
コロナ禍で帰省していた時にグラウンドで練習していたが、校舎に入るのは高校時代以来。野球部員が荷物を持って、グラウンドに向かって走っていく姿に「懐かしいですね……」と自身と重ね合わせた。報告会では3度の甲子園に導いてくれた佐々木前監督を隣に「よく怒られました。でも監督と一緒に目指していた甲子園に出ることができて嬉しかったです。こうして花束を受け取れて感動しています」と恩師に感謝した。
高校時代の思い出は「いろいろありすぎて……」と絞りきれないが、指揮官と共通して忘れられないのは今から5年前の11月。センバツ出場をかけた秋季関東大会。それも抽選会から始まったドラマだ。
初戦でも対戦を監督が「最も避けたかった」優勝候補、横浜とのくじを鈴木が引いてしまった。指揮官から「責任を取って来い」と試合の先発マウンドに送り出された。
先発を任されただけでなく、勢いを与えるために公式戦初の1番打者。ノーヒットに終わったが、現楽天の藤平との投げ合いを制して、1失点完投勝利。中学時代、侍ジャパンU-15でチームメートだったライバルを振り切った。その後、常総学院はセンバツ切符も手に入れた。
鈴木は3年生の時、春夏で甲子園に出場したが、プロ志望届は出さずに進学を決断。佐々木監督は「プロに行きたいと思って、うちの学校に入ってきた。当時は評価が低かったので、ワンステップを踏んで、プロになれという思いで大学に送り込んだ。見事に達成して、精神的にも大きくなって帰ってきてくれた」と喜んだ。
再び、大きな目標を持って進んだ法大でドラフト1位になるまでに成長した。決断は間違ってはいなかった。
もしも、4年前の自分に伝えられることができるとすれば、どんな言葉をかけたいかという問いには「大学を選んだ時に不安な気持ちはあったんですけど、やることをしっかりやれば、『自分の目標を達成できるよ』と伝えたいですね」と言葉を紡いだ。後悔を断ち、進んだ道で全力を尽くしたことで鈴木は自分で道を切り拓き、夢を掴んだ。
報告会後はグラウンドで後輩たちを激励。これまでも多くのプロ野球選手を輩出してきた同校から初めてのドラフト1位指名となったが、「プロ1年目から1軍に定着し、チームに貢献できるように頑張りたい」と気持ちを新たにした。母校の期待を背負い、今度はプロとしての「責任」を胸に大きな舞台へ飛び込んでいく。