「何かできることはないか」JR東日本野球部が自粛期間中にイラストを描いた理由とは?

JR東日本の柏球場【写真:編集部】
JR東日本の柏球場【写真:編集部】

観客席に貼られた個性的なイラストの数々

 社会人野球・JR東日本の柏球場。オープン戦の応援へ駆け付けた多くの人たちの目を引いたのは、ソーシャルディスタンスの距離をとるために観客席の座席に貼られたイラストだった。描いたのは、22日から始まる第91回都市対抗野球大会に出場するJR東日本の選手達。ユニークな絵が満載だった。

“社業”でもあるJRの駅名看板をイメージし「社会的距離」駅と書かれたもの。前と後を示す駅名には「手洗い」「うがい」とある。また「リードは大きく! コロナも野球も距離感が大事」と書かれたイラストも。権利の関係で客席には貼られることはできなかったが、ピカチュウやドラえもんを描いた選手もいたという。絵はラミネートされ、バックネットにある150席のうち、3分の2の100席に設置されている。

 この企画の意図をマネージャーの松浦健介さんに聞いた。松浦さんも名門・横浜高で4番打者として甲子園出場。法大、JR東日本で活躍したアマ界では知られた存在だ。そんな松浦さんの大事にしたい思いが絵には込められていた。

「(コロナの感染拡大による)自粛期間中、何かできることはないかと、チームの全選手にイラストを描くことを提案した。絵心選手権ではないですが、上手い、下手はここでは関係ありません」

 球場は昨年にリニューアルされ、地元や野球ファンが観戦しやすいように150席が設けられた。名前とプレーが一致するよう、電光掲示板が設置。名前が表示されるようになった。応援してもらえるチームになるため、同社が力を注いだファンと選手を結ぶ場所が、この球場だ。

 しかし、今春はこの未曾有の事態に春先からのオープン戦は、予定されていた大会も軒並み中止となった。チームもファンも野球を奪われた。

「クラスターが発生してしまったら、せっかくの野球も楽しめなくなってしまう」

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