「何かできることはないか」JR東日本野球部が自粛期間中にイラストを描いた理由とは?

「クラスターが発生してしまったら、せっかくの野球も楽しめなくなってしまう」

 松浦さんは、野球が再開できる日を待ちながら、「解禁されたら、真っ先にうちのチームが試合をやって、社会人野球も戻ってきた! ということを発信していこうと考えました」と準備を進めてきた。いつも多くのファンが駆けつけるこの球場に早く熱気をもたらしたい。そんな野球愛が溢れ出た。

「でも、クラスターが発生してしまったら、せっかくの野球も楽しめなくなってしまう。なので、この絵を座席に貼って、間隔をとっていただこうと考えました」

 絵には選手の名前も書いてある。甲子園で活躍した選手や、プロを目指すルーキーが一生懸命、野球をファンと一緒に楽しめる日を信じて、描いた。苦手な人もいただろう。それでも、ボールやバットと同じくらい、ペンに力を込めた。訪れたファンは思い思いに、写真に収め、SNSなどでも発信している。

 松浦さんは言う。

「ウチにはこんな絵を描く選手がいるんだ。ファンに選手のことをもっと知ってもらいたいという思いもあります。彼らの中にはプロになっていく選手もいます。そういうところから感謝だったり、ファンを意識するようにして欲しいな、と」

 今年のドラフト会議でも阪神2位で伊藤将司投手が指名され、これで10年連続でプロへ選手を送り出した。来年も上位候補と呼ばれる選手たちがいる。彼らにとっても、奪われた野球の時間を無駄にしない、野球人として新しい意識を持てたのではないだろうか。

 JR東日本は予選を勝ち抜き、都市対抗野球出場を決めた。応援してくれるファンを少しでも楽しませたい。大事にしていきたい。そんな思いが感じられた光景だった。

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