最速154キロにスタンドどよめき 昨年VのJFE東日本を封じたルーキー右腕とは?
三菱自動車倉敷オーシャンズのルーキー廣畑敦也が9回6安打1失点の快投
第91回都市対抗野球大会が22日に行われ、第1試合で先発した三菱自動車倉敷オーシャンズ・廣畑敦也投手が9回1失点の完投勝利。昨年王者のJFE東日本を3-1で下し、2回戦進出を決めた。
電光掲示板に表示された「154キロ」の文字に、スタンドがどよめいた。投じたのは中国地区の第2代表で出場した三菱自動車倉敷オーシャンズの先発・廣畑だった。廣畑は帝京大から今年入社したばかりのルーキー。セットポジションから150キロを超える速球と、打者の手元で大きく曲がるカーブ、鋭く曲がるスライダーなど多彩な変化球を投げ込む右腕だ。
社会人野球の世界に飛び込んでから、この日が初めての全国大会。「バッターと意外に近いんだな」。マウンドから打者に対峙し、自然と心が高鳴った。廣畑は「集中できた。打者との勝負を楽しめて、自分の投球ができました」と晴れ舞台での快投を振り返った。
大会直前のオープン戦で最速152キロをマークした廣畑は、勢いに乗って東京ドームに乗り込んできた。この日は自己最速をさらに更新する154キロも計測。力のある直球と変化球を織り交ぜ、昨年覇者のJFE東日本打線を翻弄した。
9回まで123球を投げ6安打7奪三振、1失点完投勝利を納めた廣畑は「序盤はけっこう緊張していたけど最後まで投げてみて、調子がよかったように思う。それを9回まで続けられてよかった」と汗を拭った。日本ハムからドラフト6位指名を受けた好打者の今川に対しては「意識して打席に立ってくれたので、勝負を楽しめた」と自然と力が入り、4打数無安打にねじ伏せた。
この日登板した全投手の中でも最速となった“154キロ”という数字について問われると「速すぎかなと思う」と謙遜し照れ笑い。それでも「150キロを超えるボールを投げることができるとアピールできた。そこは良かったと思います」と胸を張った。2回戦では、超積極的野球で強豪・トヨタを粉砕したセガサミーと対戦する。「(9回まで)投げ切れて、自信になった。最後まで自分が抑え切れるように」と意気込んだ廣畑が、今大会一番のシンデレラボーイになるかもしれない。
(安藤かなみ / Kanami Ando)