広島ドラ1・栗林、7回13Kの好投も感じた名門の重圧 「1位よりもトヨタの先発」
7回5安打、毎回の13奪三振で2失点の好投も「勝てる投手は先制点をあげない」
22日に東京ドームで行われた第91回都市対抗野球大会1日目で、第2試合に登場したトヨタ自動車がセガサミーに0-2の完封負け。今秋のドラフト会議で広島から1位で指名された社会人ナンバーワン右腕・栗林良吏投手が先発し7回5安打13奪三振2失点の力投も、打線が栗林を援護できなかった。
一発が重くのしかかった。2回1死一塁から8番・北阪に投じた直球を、右翼席の最深部まで運ばれた。「アウトコースに投げ切る予定がインコース高めにいってしまった。失投です。自分の力不足」と一発を悔やんだ栗林。7回まで許した得点はこの2点のみ。相手先発・草海を攻略できなかった打線には、この2点はあまりにも大きかった。
7回まで毎回三振を奪い、13奪三振と圧倒的な力を見せたが「三振を狙っていたわけじゃない」とキッパリ。「勝てる投手は先制点をあげないし、逆転されない。守備のリズムでバッティングも変わってくるのに、自分が3者凡退で終わるイニングが少なかったことが(味方の)打撃に影響してしまった」と敗戦の責任を背負った。
新型コロナウイルスの影響で都市対抗の華でもある応援ステージの設置は見送られたが、スタンドからはトヨタのチームカラーである赤を身に着けたファンが拍手でナインを後押しした。「チームの人たちにも、わざわざ東京まで来てくれたファンにも申し訳ない」と繰り返したが、「応援してもらえるだけで、自分たちのモチベーションも上がってアドレナリンも出る。応援に助けられていると実感できた」と改めてファンに感謝した。
今年のドラフトでは広島から1位指名を受け、注目を集めてきた。「もともとプロに入るために今年1年やっていたのではなく、都市対抗で優勝するための延長線上にプロがあった」と言葉に力を込めた一方で「『1位だから』よりも、『トヨタ自動車の先発』というプレッシャーの方が大きかった」と強豪のエースならではの重圧も吐露。栗林は「今年も一発に泣いた。コントロールは自分が引退するまで磨いていかないといけないもの。ここ一番でコースに投げれるようになりたい」と更なるレベルアップへ課題を口にしていた。
(安藤かなみ / Kanami Ando)