飲食店で働く選手たちに“コロナ禍”直撃…ジェイプロジェクト初戦敗退も「感謝」

ジェイプロジェクトは1-8で鷺宮製作所に敗れた【写真:鳥越涼芳】
ジェイプロジェクトは1-8で鷺宮製作所に敗れた【写真:鳥越涼芳】

鷺宮製作所に1-8で完敗「地に足がついていなかった」

 東京ドームで24日、第91回都市対抗野球大会の3日目が行われ、第2試合で名古屋市代表のジェイプロジェクトが1-8で東京都代表の鷺宮製作所に敗れた。8年ぶり2回目の本戦出場だったが、今大会でも白星をあげることはできなかった。

 2点を追いかける3回、鷺宮の先発・平川から今井の中前適時打で1点を返したが、その後は打線が沈黙した。ジェイプロジェクトは2回途中から2番手・西納に継投。後半の逆転劇に望みをつないだが、バッテリーミスなど守備の乱れもあって終盤に大量失点を喫した。予選では勢いに乗って勝ち上がってきたが、本戦では全国の高い壁に跳ね返された。

 名古屋を中心に飲食店事業を手掛けているジェイプロジェクトを、春先にコロナ禍が直撃。飲食店で働く選手たちは休業を余儀なくされ、緊急事態宣言が発令されてからはチームの練習は完全に休止した。グラウンドも使用できず、選手たちは2、3人の少人数で公園に集まって身体を動かした。7月に入ると練習も再開され、選手たちも徐々に社業に復帰していったが、普段通りとはいかない。辻本弘樹監督は「試合に行くにしても遠くに行かないとか、感染対策をしっかりして、いつも以上に気を遣っている」とコロナ禍での苦悩を吐露した。

 8年前の初出場も経験したベテランの今井は試合後、「緊張感がすごかった。対応できなかった」と険しい顔で取材に対応した。6回に味方野手が併殺を完成させたと思いこみベンチに戻ろうとしたが、実際には併殺は完成しておらず守備位置に戻された。「勝手にアウトだと思ってベンチに引き返したことで、隙が生まれた。守備のいいリズムを失って後悔している」。その直後の自らの野選が失点に直結。「(新型コロナウイルス感染拡大の影響で)練習ができなかったからではなく、地に足がついていなかった」と自らの準備不足を認め、猛省していた。

 今井は「会社が大変な時期に野球をやらせてもらっていて感謝している。それをここで表現したかったけどできなかった」と話し、大粒の涙をタオルで拭い続けていた。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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