創部2年で“史上最速”都市対抗のハナマウイ、初戦ゼロ封負けも「来季の糧に」
都内でデイサービス施設を運営する「ハナマウイ」が母体のクラブチーム
26日に東京ドームで行われた第91回都市対抗野球大会第5日目で、初出場のハナマウイが、0-1で四国銀行に完封負けを喫し、初戦敗退となった。
わずか2時間8分で終わってしまったハナマウイの夢舞台。「選手たちはこの1年だけじゃない。来シーズン以降にしっかり糧にして、プラスになればいい。そういう大会にしたい。選手はよくやった」。試合後、オンライン取材に応じた元阪急の本西厚博監督は、そう言ってうなずいた。
東京都内でデイサービス施設を運営する「ハナマウイ」が母体のクラブチームで、2017年に創設された女子硬式野球部に続き、2019年5月に誕生した。選手たちは週の半分は介護施設で働きながら練習に励む。創部当初は10人ほどだった選手も、今年は桐蔭横浜大など大卒の選手も獲得して戦力を拡充。今年の南関東予選に初参戦し、史上最速となる創部から2年での都市対抗出場を勝ち取った。
エースの平野暖周(あつひろ)投手は、憧れのマウンドで9回1失点と躍動し「素直にうれしい」と晴れやかな顔を見せた。桐蔭横浜大では4年次に東京ドームで行われた日本選手権に出場したが、登板はなく「絶対に東京ドームで投げるんだ」と社会人野球の道を進路に選んだ。ハナマウイに転籍した今年、3年越しの夢を叶えた。
デイサービス施設利用者との交流が平野を支えた。利用者の安全を第一に考えながらの業務に気を張り続けるが「実家ではおじいちゃんおばあちゃんと住んでいたので、自分がしてあげたことをする気持ちでやっています」と週の半分以上の社業も苦には感じない。「試合があると、『どうだった?』と聞いてくれる方もいます。いい報告ができるように頑張りたかったです」と話した平野。「来年もう1回出場して、勝っていい報告ができるように」と早くも雪辱を誓った。
まだまだ発展途上のチーム。本西監督は「(予選から)大会の試合を重ねるごとに選手たちが成長していったことが一番の収穫。来年以降、もっともっと強くなるチームを作る」と意気込む。いつか栄冠の黒獅子旗が、施設に飾られる日もくるかもしれない。
(安藤かなみ / Kanami Ando)