楽天3位・ENEOS藤井、先発も8強導けず「優勝を置き土産にプロ入りしたかった」
5回2/3を投げて5四死球1失点、チームは延長10回サヨナラ負け
今秋のドラフトで楽天から3位指名を受けたENEOSの左腕・藤井聖投手が28日、東京ドームで行われた第91回都市対抗野球大会でホンダとの2回戦に先発した。ENEOSは2-3で延長10回タイブレークの末にサヨナラ負け。8強進出を逃した。
初戦の救援登板から中4日で先発した藤井は初回、先頭打者にストレートの四球を献上するなど、立ち上がりから制球がバラついた。5回2/3を投げ、5四死球1失点。6回に同点適時打を浴び、後続にマウンドを譲った。試合は延長10回、タイブレークの末に2-3でサヨナラ負け。藤井は「優勝を置き土産にプロ入りしたかった」と悔しがった。
「最初は出場することが目標だった」。試合後、今大会を振り返って藤井はそう切り出し、「出場できたことはよかったけど、ENEOSは優勝を目指すチームなので、優勝できなくて残念」と肩を落とした。
神奈川県出身の藤井は、都市対抗優勝歴代最多の11回を数えるENEOSを「特別な存在」だと言い、憧れを抱いて入社。しかし、創部以来全国で勝利を積み重ねてきた古豪も、2016年以降は予選を突破することすらできずくすぶっていた。入社1年目の昨年末に、6年ぶりに大久保秀昭監督が復帰。“常勝ENEOS”の復活のため「ドラマティックチェンジ」をスローガンにチーム改革が始まった。大久保監督は「常に優勝を求められるチーム」だと選手たちに説き、生活態度から厳しく指導した。
大久保監督からエースに指名された藤井は、その指導に「野球は生活から変えなければ変わらない。投手として大事なことを教えてもらい、自分を成長させてくださった」と感謝した。「これからもっともっと特別な存在になってほしい。ENEOSは名門。こんなところで負けているチームじゃない」。愛するチームのため、懸命に腕を振った2年間が幕を閉じた。
(安藤かなみ / Kanami Ando)