NTT東日本が3年ぶり決勝進出 今大会初先発の13年目ベテラン大竹飛鳥が7回無失点好投
5回まで1人の走者も許さぬ完全投球「チームの勝利に貢献したい」
2日に東京ドームで行われた第91回都市対抗野球大会の準決勝で、NTT東日本が日本新薬に1-0で完封勝ちをおさめ、3年ぶりの決勝進出を決めた。3日の18時から行われる決勝戦でホンダと頂点をかけて戦うことになる。
準決勝までの4試合で許した得点はわずか2点のみ。鉄壁を誇るNTT東日本投手陣の大黒柱が13年目のベテラン右腕・大竹飛鳥投手だ。今大会初先発となった大竹は、低めに集める抜群の制球で5回まで1人の走者も許さない貫禄の投球を披露。6回は1死から連打を浴び、得点圏に走者を背負ったが「気合で」とギアを上げた。
公式戦での先発は約1年ぶり。「初回から飛ばしていったので、疲労が出てきていた。身体を振って投げていたので、しっかりコンパクトに」とフォームを立て直し、今大会好調の1番・船曳を左飛に、続く古川を中飛に仕留め、このピンチも無失点で切り抜けた。
力のある真っ直ぐに、多彩な変化球を狂いなく四隅に投げ分ける投球術はもはや芸術の域だ。「昔は『150キロを出したい』ということもあったけど、どう考えても出なかった」とモデルチェンジ。低めに集める投球を徹底的に磨いた。「試合になると『抑えよう』と(欲が)出てきてしまって、甘くなるところがある」とマウンドで自分を戒め続け、社会人野球界を代表するエースとしての地位を築き上げた。
この日は7回2安打無失点で降板し、マウンドを3年目の熊谷拓也投手に譲った。その熊谷も2回をパーフェクトリリーフ。最後は見逃し三振で試合を締め、マウンドで大きく2度吠えた。飯塚智広監督はこの完封リレーに「彼(熊谷)は大竹の背中をずっと見て育ってきた」と目を細め、「大竹の背中が投手に限らずチームに与える影響は大きい。チームもまだまだ未熟。大竹には背中を見せてもらわないと」と右腕への厚い信頼を口にした。
大竹の好投もあり、チームは前回優勝した第88回大会以来、3年ぶりの決勝進出を決めた。大竹は3年前の決勝のマウンドに先発したが、3回持たずに降板と悔いを残した。「前回は早々に降りて、チームに迷惑をかけた。しっかり抑えてチームの勝利に貢献したい」。都市対抗の借りは都市対抗でしか返せないことを知っている男が、決戦の主役に名乗り出た。
(安藤かなみ / Kanami Ando)