人気番組「戦力外通告」の出演選手はどう選ぶ? 元左腕と担当Dが明かす交渉の裏側
2014年の放送に出演した八木智哉さんと担当の根本ディレクターが“再会”
現役生活の岐路に立たされた選手と、その家族の戦いを追うTBSのドキュメンタリー番組「プロ野球 戦力外通告」。これまで56人に密着してきた年末の人気番組は、今年で17回目を迎える。過去に出演した元選手と担当ディレクターは時を経ても親交が途絶えず、築き上げた深い関係も番組に深みを生んでいるという。
2014年にオリックスから戦力外通告された元左腕の八木智哉さん(現中日スカウト)は“異色”の出演者だった。「プロに入った時から、ずっとこの番組に出演したいと思っていました」。戦力外となった翌日に球団マネジャーから出演依頼が来ていることを聞き「『出るって言ってください』と即答でした」と振り返る。生々しい現実をカメラで切り取られることに敬遠する選手もいる中で「いずれクビになる仕事。出ないより出たほうが形に残るので」と前向きだったという。
八木さんは2005年のドラフト希望入団枠で日本ハムに入団。1年目の2006年に12勝8敗、防御率2.48の成績を残し、新人王に輝いた。しかし、2年目以降は左肩痛に悩まされるシーズンも多く、2013年にトレードでオリックスに移籍。新天地では2年間で6試合登板にとどまった。
八木さんの戦力外が報道された直後、当時番組のディレクターだった根本教彦さんは、わずか10分で出演を依頼しようと決断。「野球を続けたい、現役にこだわっているんだろうなと思いました」と理由を語る。人選をする際のポイントとして「家族や過去の成績だったり、その後苦しんだ時期があったり」とも。5人の子を持つ八木さんも、まさに栄光と挫折を味わったひとりだった。