2013年の日本一、地域密着型ボールパークへ ファンと共に進化した楽天の軌跡
ファンとともに作り上げた”地域密着型ボールパーク”
そして2016年、楽天の本拠地・楽天koboスタジアム宮城が大きく生まれ変わり、“世界に誇るボールパーク”が完成した。フィールドは全面青々とした天然芝に張り替えられ、スコアボードは全てLED化。そして今や楽天生命パーク宮城の象徴にもなっている観覧車が設置され、「野球場」から「観光スポット」の一つへと進化した。後にメリーゴーランドも新設され、観覧車とメリーゴーランドの2つが試合観戦可能エリアに設置されている球場は、日米初となった。
また、観覧車がそびえ立つレフト側後方にはスマイルグリコパークがオープン。当日に観戦チケットがあれば誰でも入園でき、子どもからお年寄りまで幅広い年代の方が楽しめるようになっている。また、地域との連携にも力を入れており、地元の高校生と協力して地域の子どもたちに植物の育て方をレクチャーし、育った植物をスマイルグリコパークに展示するなど、季節に応じたさまざまなイベントを行っている。
こうして進めてきたボールパーク化の結果、観客動員数は順調に伸びていった。まず、ボールパーク化が実現した2016年に162万961人で球団記録を更新すると、2017年には177万108人で再び記録更新。さらに2019年には182万1785人にまで伸ばしている。観客席を増築したため、2015年以前の観客動員数と単純に比較することはできないが、球場のボールパーク化が観客動員数の増加に大きく寄与したと言える。
また、今でこそ主流になりつつある「キャッシュレス(非現金)決済」。楽天は一足先に2019シーズンから球場内を完全キャッシュレス化を行い、現金を使用不可とした。そして、2015年8月には球界初となるコミュニティFMラジオ「Rakuten.FM TOHOKU」が開局され、オフには選手もラジオ番組に登場するなど、他球団がまだ開拓していない分野にも力を入れ、進化を続けている。
このようにして球場周囲の広い敷地を生かし、誰もが「また来たい」と思うようなボールパーク作りを進めている楽天。第5回では、チームの再編、強化を通して行われた着実なチーム力の底上げ、そして現在のチーム状況と今後の展望について触れていく。
(「パ・リーグ インサイト」後藤万結子)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)