2年連続最下位、今季のオリックスを振り返る 吉田正が首位打者も…【野手編】

外野陣からは苦節を経た韋駄天が台頭、捕手再転向の大砲が終盤に存在感示す

 吉田正という大黒柱の立つ外野陣も、もう2つのポジションをなかなか固定できないシーズンとなった。出場機会を増やしたのは佐野皓大外野手。昨季は代走での起用が中心だったが、今季はシーズン終盤に「1番・中堅」として定着。盗塁数も昨季の12から20に増やし、レギュラーとしての出場が続いた11月は打撃面でも打率.261と成長を見せた。投手としての入団から3年目での野手転向、そして今季は右打ち専念から両打ちへの再転向と、プロ入りから6年間の紆余曲折を経てレギュラー獲得が手に届くところまで見えてきた。球界屈指の韋駄天のサクセスストーリーは、来季どのような姿を描くか。

 吉田正、佐野に続く1枠の争いでは、内外野を兼ねるユーティリティ選手がポジション争いに名乗りを挙げた。宗佑磨内野手は故障で開幕1軍入りを逃すと、その後昇格も打撃が振るわずに9月15日に1軍登録を抹消されてしまう。しかし、再び1軍の出場機会をつかむと、10月は打率.233、11月は打率.333と徐々に結果を残し、外野、そして三塁をこなしながらスタメン出場の機会を増やしていった。今季の宗といえば、やはり7月25日の楽天戦で記録したランニングホームランが印象深い。加えて同日にホームスチールを決め、佐野にも劣らぬ快足ぶりを披露した。来季は内外野を問わないユーティリティさを武器に、今一度レギュラーポジションを狙う。

 昨季、若月健矢捕手が138試合に出場してその地位を確立したかに見えた正捕手のポジションであったが、今季は再び激しい争いが繰り広げられた。

 開幕マスクを被った若月は、新たな打撃フォームを取り入れて打撃成績が向上。昨季の打率.178、1本塁打から、7月終了時点で打率.273、自己最多となる3本塁打を記録して扇の要の地位をいよいよ不動のものとしたかに思われた。しかし、8月に入ると打率.103と大きく調子を落とし、スタメンマスクを被る機会も減少。中嶋聡監督代行が就任した8月21日以降は先発出場が17試合にとどまり、出場試合数は4年ぶりに100試合を下回る78試合に終わった。8月に苦しんだ打撃は9月に入り打率.286と持ち直し、改めて打撃改造の成果を示した。再びの正捕手奪取へ、シーズンを通した活躍に期待したいところだ。

 その若月に代わって、シーズン中盤から出場機会を増やしたのが伏見寅威捕手だ。7月9日の初先発から早速1号本塁打を放ってアピールに成功すると、8月上旬までは3番、あるいは5番といった打順もこなして指名打者としての出場が続いた。そして8月21日、中嶋監督代行の就任初日から先発マスクを被ると、以降は捕手としての出場が大きく増加。シーズン序盤は山崎福の先発時に限っての出場が続いたが、8月23日のアルバースを皮切りに、山本、山岡、田嶋といったローテーション投手ともバッテリーを組んだ伏見。10月30日には山岡を1年ぶりの完投に導くなど、投手陣をけん引する活躍が続いた。

得点力不足解消へ、スタメン定着を果たすのは

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