日本ハムの今季を振り返る 有原&上沢ら先発陣が奮闘も、中継ぎ陣に課題【投手編】
ブルペン陣が成績低下、守護神候補の不調と離脱
さらに誤算だったのがブルペン陣だ。昨季60試合に登板した石川直也投手を故障で欠いたなか、守護神候補筆頭だった秋吉亮投手が防御率6点台と苦しいシーズンに。また、昨季までブルペンを支えた公文克彦投手も本来の力を発揮できず、防御率は7点台。先発・中継ぎ問わず「ジョーカー」的役割が期待された金子弌大投手も防御率5点台と、ブルペン陣が軒並み昨季から成績を落としてしまった。
そんな中でも、変わらない安定感を誇っていたのが宮西尚生投手。開幕から勝ちパターンを中心に登板数を重ねると、8月12日には前人未到の350ホールドを達成。9月からはチーム事情でクローザーの座を務めることになった。当初は失点するシーンが目立ったものの、徐々にペースをつかみはじめ、9月22日以降シーズン終了まで14試合連続無失点。120試合の短縮シーズンながらルーキーイヤーから続く13年連続50試合登板をクリアし、自身の持つパ・リーグ記録をまたひとつ更新、防御率2.05、21ホールド8セーブをマークした。
台頭を見せたのが2年目の福田俊投手だ。主にビハインドの場面で登板数を積み重ね、30試合に登板。プロ初勝利こそお預けになったものの、防御率3点台とブルペン陣を支えた。また、玉井大翔投手は49試合で21ホールド、堀瑞輝投手も45試合に登板するなど、シーズンを通して活躍を見せた。
即戦力として期待されたドラフト1位ルーキー・河野竜生投手は、12試合に先発して3勝5敗、防御率5.07とプロの壁にはじかれた。それでも、60回1/3を投げた経験値が来季の糧になるはずだ。2年目の吉田輝星投手は、1軍での白星こそ挙げられなかったものの、イースタン・リーグでは12試合で防御率2.56、イニングを上回る奪三振数を記録しており、確実に成長曲線を辿っている。
また、高卒3年目の北浦竜次投手がイースタンで防御率1.74をマークし最優秀防御率のタイトルを獲得。変則右腕として1軍で11試合に登板した鈴木健矢投手や、育成ながらイースタンでチーム最多の30登板を果たしている長谷川凌汰投手らにも期待が高まる。
先発投手は3本柱+杉浦投手が一定の成果を挙げたものの、ブルペン陣が苦しんだ日本ハム投手陣。上位に進出するためには、中継ぎの整備に加え、メジャーリーグへの移籍が決定したエース・有原の穴を埋めることが求められる。今季芽を出した若手たちが名を連ねるか。公文、金子ら実績ある投手たちが意地を見せるか。2018年以来のAクラス進出へ、さらなる奮起に期待がかかる。
(「パ・リーグインサイト」岩井惇)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)