日本ハムの今季を振り返る 中田&近藤がタイトル獲得も得点力、守備に課題【野手編】
野村の潜在能力が開花中、清宮とともに若きアーティストが希望の星となるか
明るい材料もある。清宮は、キャリアハイの33四球を選び、出塁率は.300とそのアプローチには向上の跡が見られる。また、2年目の野村佑希内野手が開幕戦にプロ初スタメンで1軍デビューを果たすと、7月2日のソフトバンク戦ではバンデンハークからプロ初本塁打、さらに1点ビハインドの9回には守護神・森の直球を捉え、センターオーバーのサヨナラ打を放つなど、たぐいまれなる打撃センスを発揮。戦線離脱の期間こそあったものの、21試合で打率.257、3本塁打18打点を記録し、その天性の打撃センスと物怖じしないメンタリティには、大器の予感が漂っている。
5年目を迎えた平沼翔太内野手は、昨季から成績を落としたものの、52試合に出場。主に2番という好打順で経験を積み、9月24日から10月3日にかけて8試合連続安打を放つなどその打撃センスは確かなものだ。また、育成を経験した樋口龍之介内野手、高濱祐仁内野手がイースタン・リーグで好成績を残し、1軍でも出場機会を得た。
実績のある淺間大基外野手、谷口雄也外野手もイースタンでは打率3割を超え、結果を出している。また、2年目の田宮裕涼捕手が41試合に出場、終盤には1軍デビューでプロ初安打も放ち、正捕手争いに名乗りをあげた。イースタンで昨季11盗塁、今季は7盗塁の俊足と強肩が魅力的で、その甘いマスクにも注目だ。
今季の日本ハム野手陣は、主力とそれ以外の選手との力量差があった。また、ディフェンス面での引き締まりに欠けていた部分もあったと言えよう。しかし、野村、清宮をはじめ、ポテンシャルに長ける若手が多くの経験を積み、ステップアップの一年になったことは大きな収穫だ。これまで札幌ドームをホームとしてきた同球団だが、2023年には北広島市に「エスコンフィールド」という新球場が開業予定。残り少なくなりつつある札幌での本拠地開催で悲願の上位進出に向けて、得点力の向上は至上命題だ。
(「パ・リーグインサイト」岩井惇)
(記事提供:パ・リーグ インサイト)