3連覇逃した西武 森&山川ら強力打線が不調も、ベテランと若手の台頭に光【野手編】

西武シーズンレビュー2020【画像:パーソル パ・リーグTV】
西武シーズンレビュー2020【画像:パーソル パ・リーグTV】

「獅子おどし打線」の象徴が悔しいシーズンに

 今季は、秋山翔吾外野手がメジャー挑戦のために渡米した影響が何よりも大きかった。2019年シーズンは、浅村栄斗内野手の移籍がありながら圧倒的な攻撃力を維持した打線だったが、今季は多くの選手が苦しんだ。昨季はリーグトップの.265を記録したチーム打率も、今季は同.238でリーグ5位と低迷。絶対的なリードオフマンの移籍は、チームに予想以上の試練を与えたと言えよう。西武のシーズンレビュー後編は、打者に注目して2020年シーズンを振り返っていく。

 試練のシーズンとなったのは森友哉捕手と山川穂高内野手の2人だろう。昨季はともに主軸、主砲としてチームをけん引。中軸としての期待が一段と高まった今季だったが、ともに打撃不振に苦しむシーズンとなってしまった。

 今季から選手会長に就任した森は、104試合で9本塁打、打率.251を記録。パ・リーグの他球団でチーム最多出場の捕手と比較すると出色の成績であることは間違いないが、首位打者を獲得した昨季からは大きく成績を落とす形となってしまった。ただ、守備面では、女房役として安定感抜群だった救援陣をリードし、ソフトバンク・周東の盗塁を阻止するなど盗塁阻止率3割台と成長も見せた。来季は本来の天才的なバットコントロールを取り戻し、攻守ともにチームの要としての活躍に期待したい。

 山川は今季から新背番号「3」を背負うシーズンとなった。打率向上を目標に、打撃フォームをかつての豪快なものからコンパクトなものに改造。開幕直後の6月は、10試合で打率.290、5本塁打と快調なスタートを切った。ただ、以降は徐々に成績が下降し、8月9日の試合で空振りをした際に足首を痛め、以降はこの故障を抱えての出場が続いた。

 そんな中でも忘れられないのは8月27日の日本ハム戦でのサヨナラ打だろう。5連敗で迎えた9回裏の逆転打は、多くのファンの感動を呼ぶとともに、不調のチームに責任を感じていた森を救った。24本塁打ながら、打率.205とシーズンでは低迷してしまったが、あの一打は間違いなく主砲の一振り。万全の状態を取り戻し、来季こそ西武の強打者の象徴「3」を背負って打線をけん引してくれるはずだ。

任された場所で結果を残し続ける、窮地の打線に芯を通した栗山巧という男

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