4年ぶりAクラスのロッテ エース候補を欠くも勝利の方程式を確立【投手編】
無類のホークスキラー・二木康太
二木康太投手は昨オフ、背番号をエースナンバーである「18」へ変更したが、今季序盤は不安定な投球が続き、2軍降格。しかし8月に復帰すると、抹消期間に行ったフォームの修正が功を奏したか、9月14日のオリックス戦で2年ぶりとなる完封勝利を挙げる。特にソフトバンクに対して好相性を発揮する“鷹キラー”ぶりも印象的で、昨季から続いて7連勝を達成。これは球団24年ぶりとなる快挙だった。最終的には15試合に登板して9勝3敗と、自身初の勝ち越しに成功している。
好成績の要因は、持ち味である制球力に一層磨きがかかったことだろう。規定投球回には届かなかったものの、四球数は50イニング以上投げた投手の中で最少タイとなる12。さらに、1イニングにつき許した走者数を表すWHIPは、一般的に1を切ると優秀と言われているが、二木は0.91。来季はシーズンを通してその安定感を発揮したいところだ。
石川歩投手も先発陣の一角としてチームを支えた。開幕直後は白星に見放される苦しい内容が続いたものの、7月31日の楽天戦で今季初勝利をあげると、そこから6連勝をマーク。8月は4勝0敗で月間MVPにも輝き、首位争いを演じたチームの快進撃に貢献した。特筆すべきはゲームメーク能力の高さだろう。今季は完投こそないものの、先発登板21試合のうち19試合で6回以上を投げきり、133回1/3はパ・リーグトップの数字。さらにQSもリーグ最多タイとなる14回を数えるなど、先発として頼もしく役割を全うした。
美馬、二木、石川の3本柱に加えて、若手投手も奮闘した。6年目を迎えた岩下大輝投手は開幕からローテーションに加わると、3戦3勝の好スタートを切る。10月に新型コロナウイルス感染の影響で戦線を離脱するも、最終的には17試合に先発して7勝7敗と自己最高の成績を残した。
一方で四死球から崩れる場面も目立ち、課題とされる制球難は克服できず。特に0勝2敗、防御率6.86と振るわなかった8月は16四死球と苦しんだ。来季こそは、150キロを超える直球を軸とする力強いスタイルと、精密な制球力を両立させたい。
昨季終盤に飛躍の足がかりを作った2年目左腕・小島和哉投手も躍進を遂げた。今季初登板となった6月24日のオリックス戦で白星を飾ると、8月26日の楽天戦では7回11奪三振無失点で、開幕8連勝中だった涌井に投げ勝つ。シーズンを通しては貴重な左の先発としてローテーションを守り抜き、7勝8敗、防御率3.73でフィニッシュ。来季はあと一歩に終わった規定投球回到達、2桁勝利を狙いたいところだ。