4年ぶりAクラスのロッテ エース候補を欠くも勝利の方程式を確立【投手編】

必勝リレーにつなぐ存在、小野郁と東條大樹もブルペンを支えた

 ブルペンを支えたのは、リードしている場面で登場する必勝リレーの4投手だけではない。昨季FAした鈴木大の人的補償で移籍してきた小野郁投手は、初めて開幕1軍の座を勝ち取り、6月26日のオリックス戦でプロ初勝利を挙げたものの、7月までの防御率は4点台後半と苦しんだ。それでも夏場にかけて調子を上げ、主に同点やビハインドの場面を任され、自己最多となる40試合に登板。9月は10試合に投げて防御率0.00と安定した投球を披露するなど、中継ぎ陣の一角として1年間投げ抜いた。

 東條大樹投手も39試合に登板した。昨季58試合に登板したことで、今季は開幕から大車輪の活躍が期待されていたが、7月は防御率9.00と安定感を欠いた。2軍での調整を経て8月に再昇格を果たすと、19イニングを投げて防御率0.47と投球内容は大きく改善。また、昨季から強さを見せていた対右打者に対しては被打率.238と相性の良さを示すとともに、左打者に対しても実力を発揮。再昇格後は被打率.160と抑え込んだ。

 今季は先発と中継ぎの両輪が機能したことでリードを守り抜いて勝利へとつなげることができたロッテだが、まだまだ懸念点は多い。チームの中心である美馬投手、石川らベテラン勢の後に続く若手の台頭も期待されるところだ。そこで今季1軍において飛躍の足がかりを作った投手を取り上げたいと思う。

 その筆頭格として挙げられるのは、今季11試合に先発した中村稔弥投手。9月11日には8回無死まで無安打の快投を演じるなどオリックス戦2勝を挙げたが、他の4球団からは勝ち星を挙げられず悔しさの残るシーズンとなった。同期入団の小島投手とは水を開けられているだけに、来季は先発陣の一角として左の2枚看板の形成となるか。

 また地元出身の古谷拓郎投手の覚醒も待たれる。今季は度重なる降雨により本拠地デビューが3回連続で流れてしまう不運もあったが、初登板を果たした10月10日のソフトバンク戦では、5三振を奪う粘りの投球を披露。王者を相手に大器の片鱗を見せつけた。2軍でも36回1/3で32奪三振を記録しており、奪三振能力の高さも光る2年目右腕の来季に注目したいところだ。

 個人ではそれぞれが役割を果たすことで多くの選手がキャリアハイをマークし、リーグ2位となるチーム防御率3.81の好成績を残した一方で、1位のソフトバンクとは1点近く離されている厳しい現実も受け止める必要がある。来季はここに挙げられている投手以外を含めて各投手がさらなるレベルアップをすることによって、あと一歩に終わったリーグ制覇がさらに近づくことになるだろう。

(「パ・リーグインサイト」和田信)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY