4年ぶりAクラスのロッテ エース候補を欠くも勝利の方程式を確立【投手編】

救援防御率はリーグ2位の「3.30」、4投手で支え合った幕張の必勝リレー

 昨季ロッテは、イニング別では8回の失点が87ともっとも多く、ブルペンの整備が急務となっていた。昨オフ、その重要なピースとして獲得した元広島のジャクソン投手は7月8日に退団してしまったが、9月以降はベテラン4投手による勝ちパターンを形成することで課題を克服。8回の失点は47に減少し、救援防御率はリーグ2位の「3.30」と、リーグ屈指の救援陣と言っても過言ではない。

 まず必勝リレーでは、唐川侑己投手が抜群の安定感を見せた。2018年にシーズン途中から中継ぎ陣に加わり適性の高さを示したものの、今季は2軍スタート。しかし7月29日に1軍登録されると、初登板から17試合連続無失点を記録する快投で、8月中旬から勝ちパターンに定着。「7回の男」として32試合に登板して1勝1敗14ホールド、防御率1.19と、驚異的な数字を残した。今季は新たにチェンジアップを習得。決め球のカットボールをはじめとする、多彩な変化球を織り交ぜながら打者を手玉に取る技巧派として新スタイルを確立したことが、好成績につながったといえるだろう。

 そして今季、楽天から加わったハーマン投手も、必勝リレーの一角を担った。150キロ近い直球と鋭く変化するナックルカーブを武器とする経験豊富なベテランは、開幕当初には7回を任されるも、ジャクソンの退団により8回へと配置転換。7月こそ痛打される場面も目立ったが、8月は防御率0.82と調子を上げ、チームの弱点を埋める働きを見せた。また、救援陣の連投状況によっては9回にも登板するなど、臨機応変な起用にも応えた。9月中旬に右手の故障により一時戦線離脱を強いられるが、終盤に復帰。シーズンではチームトップの23ホールドを記録するなど、勝ち試合の継投には不可欠な存在となった。

 ハーマンの離脱によるセットアッパー不在の窮地を救ったのが、巨人からの電撃トレードで移籍してきた澤村拓一投手だった。巨人では大きな期待をかけられながらもそれに応えるまでに至らず、3軍での調整を続けていたものの、9月7日に移籍が発表されると、翌8日の日本ハム戦では3者連続奪三振の衝撃デビュー。すぐさま離脱中のハーマンの穴を埋める活躍で「8回の男」に定着した。

 持ち味の最速159キロの直球と、落差のあるスプリットを武器に驚異の奪三振率12.43を記録するなど、最終的には22試合に登板し13ホールド1セーブ、防御率1.71の好成績をマーク。ブルペンの救世主として、新天地で輝かしい復活を果たすこととなった。

 必勝リレーの最後を受けたのがチームトップの54試合に登板、31セーブを挙げた益田直也投手。目標としていた最多セーブは惜しくも叶わなかったが、自身7年ぶりとなる30セーブの大台に乗せている。今季は、代名詞のシンカーが被打率.227、スライダーが被打率.083と左右の変化球が優秀で、力強い直球と組み合わせることで打者を幻惑した。また、8月7日のオリックス戦では史上5人目となる通算100セーブ&100ホールド、28日には通算500試合登板を達成するなど記録づくめの年に。来季も不動の守護神として、チームのために腕を振り続ける。

必勝リレーにつなぐ存在、小野郁と東條大樹もブルペンを支えた

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