楽天ドラ2高田を開眼させた ダルビッシュや千賀も認める“お股ニキ理論”
「真っすぐの軌道から小さく曲げる意識でカットボール、スプリットを投げるように」
楽天ドラフト2位の最速156キロ右腕・高田孝一投手が6日、仙台市内の泉犬鷲寮へ入寮した。10日からは新人合同自主トレに臨むが、そこで強い味方となるのが異色の野球評論家であるお股ニキ氏の理論だという。
「高校、大学を通じて寮生活でしたが、ひとり部屋は初めて。落ち着きます」と入寮に際して笑顔を見せた高田。集中しやすい環境を生かし、励もうとしているのが読書。寮に持ち込んだのがお股ニキ氏の著書4冊だった。
お股ニキ氏は、実技経験こそ途中退部した中学野球部までだが、様々なデータ分析、ボールの回転や軌道の解析、鋭い視点、感性に基づいて新しい野球の見方をツイッターなどで発信。その内容はパドレスに移籍となったダルビッシュ有投手やソフトバンクの千賀滉大投手らにも支持されている。
高田は最高球速が示す通り「ストレートが僕の1番の売り」というパワーピッチャーだが、大学球界屈指の右腕として高く評価されるようになったのは、その速球を生かす変化球がレベルアップしたからだという。「以前は曲がりの大きい変化球を投げていましたが、大学3年の頃、お股さんの本を読んでから、真っすぐの軌道から小さく曲げる意識でカットボール、スプリットを積極的に投げるようにしています」と語る。
その結果、空振りや打ち損ないの凡ゴロに仕留めやすくなり、投球の幅が広がったのだといい「配球面も参考になります。ひととおり全部読みましたが、実際にいろいろ試しながら、読み返していきたい」と目を輝かせる。
また「筋肉の構造や、トレーニングのピークをどこに持っていくかといった“期分け”についても勉強しているところです」と語る理論派でもある。新型コロナウイルスの感染拡大で外出はままならず、趣味の「カフェ巡り」もしばらくお預けとなりそうだが、「ここ1年、ひとりの時間が増えた分、自分のプレーを見直したり、本や動画で知識を増やすことができました。今後もしっかり研究、勉強の時間にあてていきたい」と前向きだ。
「自分は神奈川出身で、仙台はやはり寒い。気温の変化があるので、1月中はアピールするというより、2月のキャンプインへ向けてコンディションを合わせていきたい」と気負いも感じさせない。その上で「開幕1軍を勝ち取ること。そして、1年間戦力としてチームに貢献すること」を目標に掲げた高田。決して球が速いだけのピッチャーではない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)