GG賞の鷹甲斐やハム中田らはなぜ選ばれず? アナリストによる守備評価は…【捕手&一塁編】

ゴールデン・グラブ賞に輝いた甲斐はフレーミングの評価で下位に

 木下はこのフレーミング評価において、他選手に圧倒的な差をつけてトップとなった。コース別に見ると、低めの投球に対しストライクを取る能力が抜きん出ていたよう。2位の大城卓三(巨人)はストライクゾーンの横幅、3位の梅野隆太郎(阪神)は左打者に対してより多くのストライクを獲得していた。フレーミングで好評価を得た捕手は、そのまま総合順位も高かったようだ。

 他に戸柱恭孝(DeNA)が一塁側の投球をストライクゾーン枠に引き込む捕球で多くのストライクを獲得していた。ただ一方で三塁側の投球に対してはそれほど多くのストライクを得ておらず、非常に特徴的なフレーミングの傾向が出ているとアナリストは指摘している。

 ちなみにパ・リーグでゴールデン・グラブ賞を獲得した甲斐拓也(ソフトバンク)は、総合で4位の評価だった。低めの投球に対してストライクを奪えず、フレーミング評価で下位に沈んだことが最上位とならない大きな要因となった。

 また甲斐は盗塁をアウトにする、あるいは盗塁をそもそもさせないことでも他選手に圧倒的な差をつけるには至っていない。ただワンバウンドの投球を暴投にしないプレーにおいては、最高評価を得た。奪三振能力の高いパワーピッチャーが多いソフトバンクにおいては、こうした甲斐のブロッキング能力の高さが効果的だったと考えるアナリストもいた。

(DELTA)

DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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