選抜で史上初「同一大会兄弟本塁打」 高松商準Vに導いた2人の5年後と次の夢…
慶大からENEOSへ進む兄・響介にインタビュー、弟は明大最上級生に
高松商時代の2015年に明治神宮大会で優勝し日本一、5年前(2016年)のセンバツで準優勝を果たした植田響介選手(慶大4年)。甲子園では1歳下の弟・植田理久都選手(明大3年)とともに史上初の同一大会で兄弟アーチを達成し、高校野球ファンを沸かせた。歴史に名を連ねた兄弟の次の夢とは 春から社会人野球のENEOSに進む兄に聞いた。(聞き手・西村志野)
――高校では4番・捕手でチームの主力でしたが、大学では出場11試合に留まりました。大学野球生活を振り返って、いかがでしたか?
「『大卒でプロに行きたい』というのが一番大きな目標でした。競争の中でいかにポジションを勝ち取るか、その難しさをすごく感じましたね。レギュラーだったキャッチャーは、プレーで引っ張るのはもちろん、声で鼓舞し、チームを明るくするとか、コミュニケーション能力は、他のメンバーがすごく長けていたので、そこが僕に足りなかったなと思います」
――初めて試合に出た時(2018年、2年の東京六大学春のリーグ戦)の心境は?
「緊張しかなかったです(笑)。初めてだったので、足がガクガクしていました。普段は緊張しないんですけど、大学の最初に出た試合だけはめちゃくちゃ緊張して、高校とは違う雰囲気があった。神宮球場はすごく広いし観客席も大きくて、めっちゃ見られている感じというか、チームからの応援も若干プレッシャーになっていました。結果は代打で三振。キャッチャーミットにボールが入ってから振りました、最後(笑)」
――大学野球で一番悔しかったこと、嬉しかったことは何ですか?
「悔しかったのは、レギュラーをとれなかったこと。弟の理久都が試合に出ているので、なかなか同じ土俵に立てなかったというのが一番悔しい。その点、4年の時に一番嬉しいと感じたのが、リーグ戦で弟と同じ舞台に立てたこと。勝負できたということが、大学で1番いい思い出になったかなと思います。弟の結果は、めちゃくちゃ見ますね(笑)。弟の明治の試合があって僕は試合がない週も、慶応のデータ担当の人に『(理久都)ヒット打った?』とか聞いちゃうぐらいなんで(笑)。気にはなりますね」
――弟の理久都選手は高松商を卒業後、明大に進学。同じ東京六大学野球でプレーすることになるのは、想像していましたか?
「全く想像してなかったですね。まさかそんなところまで一緒のリーグになるとは思ってなかったので、『明治になるかも』と知った時は『また一緒か!』って思いました。でも(小・中・高は同じチームでプレーしていて)初めて違うチームで対戦できるので、また違った面で楽しみだし面白そう、そういう感情がわいてきました」
――同じリーグでプレーすることになって、2人で掲げた目標はあるんですか?
「お互いに言い合っていたのは『次は違うチームになるけど、対戦しよう』みたいな感じですね。理久都は、自分と同じように代打で出ることが多かったんですけど、3年の秋に急にスタメンで出てきて、そこからずっと連続で出ている。レギュラーで出ていて羨ましいというか『うわ~、負けたなあ』ってすごく思いましたね。あいつがレギュラーをとった瞬間にすごく感じました。『うわ~、とられたかあ』って。チャンスをモノにできているなって思います」