西武の守護神・増田の凄さは? 被打率0割の“魔球”、セイバーで見る総合力の高さ

奪三振・四球・被本塁打のいずれにおいても、一定以上の安定感が

 ここからは、セイバーメトリクスで用いられる各種の数字を参考に、増田投手の投球の特徴について分析。それに加えて、2020年に記録された球種配分、球種別・コース別の被打率といった要素についても見ていくことで、ピッチングと、その強みについてより深く掘り下げていきたい。

 まずは、セイバーメトリクスの分野で用いられる以下の5つの指標から、各年度の成績を見ていきたい。

・9イニングで記録できる奪三振数の平均を示す「奪三振率」
・9イニングで与える四球数の平均を示す「与四球率」
・9イニングで打たれる本塁打数の平均を示す「被本塁打率」
・奪三振を四球で割って求める、投手の制球率を示す「K/BB」
・1イニングあたりに許した走者の数を表す「WHIP」

 奪三振率に関しては、不振に陥っていた2018年以外の全てのシーズンで7点台以上の数字を記録している。それに加えて、イニング数を上回る奪三振数を残したシーズンも、2017年と2019年の2度存在。キャリア通算の奪三振率も8点台に到達しており、一定以上の奪三振力を有することは、各種の数字に表れている。

 与四球率に目を向けると、プロ2年目の2014年以降は7年間全てで2点台以下と、自滅に近い形で走者を溜めるケースが少ない。2019年には与四球率1.29の好成績を残しており、翌2020年にも2年続けて1点台の数字を記録。直近2年間は防御率の面でも優れた数字を記録しているが、こうした制球面の安定が、投球内容のさらなる向上に寄与しているのは間違いない。

 被本塁打率は年によってややばらつきが見られるが、2015年と2016年には2年続けて年間被本塁打をわずか1本に抑えており、この期間は不意の一発によって失点を喫するケースが非常に少なくなっていた。2017年からの2年間は対照的に被本塁打率が1を上回っていたが、2019年以降は再び改善傾向にある。2018年の不振から脱却するにあたっても、被本塁打の減少が少なからず良い影響を及ぼしていた。

各種の指標においても能力の高さが示されている

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