昨季途中にトレード移籍 楽天・高田萌生が語る「巨人のキャンプとの違い」
豪華1軍先発ローテの一角狙い「食らいつく意識で」
昨季途中のトレードで巨人から移籍してきた若手が、楽天で花開くかもしれない。プロ5年目・22歳の最速154キロ右腕、高田萌生投手。楽天の選手として初めて参加している沖縄・金武キャンプでは初日に67球、3日目には94球を投げ込み、抜群の球威が目を引いた。【宮脇広久】
理想は、手元で浮き上がるように見える球筋。則本昂とキャッチボールをした際、「まさにそういうストレートでした。だから空振りが取れるのでしょうね。腕を上から叩くのではなく、予想していたよりも前でボールを離すイメージでした」と魅せられた。
巨人でも本格派右腕として将来を嘱望されていたが、昨年7月15日、救援左腕不足のチーム事情から、高梨雄平投手との交換で放出された。通算3試合0勝1敗、防御率11.57。プロ初勝利には届かなかった。移籍後、昨季年俸4800万円の高梨は巨人で貴重なリリーバーとしてリーグ優勝に貢献したが、同710万円の高田萌は1軍に上がれなかった(金額は推定)。それでも、この若者は“大化け”の可能性を秘めている。「トレードと言われた当初はいろいろ考えましたが、今はやりがいを感じていますし、良かったと思っています」と語る。
昨年までの巨人のキャンプとはどこが違うのか。「やはりセ・リーグとパ・リーグの違いで、ジャイアンツの時は打撃練習やバント練習が結構ありましたし、初日の2月1日から投手陣にもベースランニングがありました。今は投げることに集中できています。そこが1番感じるところです」と語った。
小山投手コーチのアドバイスで、ストレートの重要性を再認識中。「昨季の僕は変化球でかわすところがあったのですが、『あれだけの真っすぐがあるなら、まずそれを磨いて基準にしていこう』と言っていただきました。パ・リーグで活躍するのは、そういう投手なので」と明かす。
「コーチから『先発で』と言っていただいている」そうで、1軍先発ローテ入りを狙う。しかし、そこには8年ぶりに復帰した田中将をはじめ、涌井、岸、則本昂、さらにはドラフト1位ルーキーの早川ら豪華な顔ぶれがズラリ。割って入るのは容易ではない。
「すごい投手ばかりなので、争いとなったら大変ですが、見たり聞いたりして勉強しながら食らいつく意識でやっていきたい。田中さんが来られたことも自分のプラスにしていきたいです」と目を輝かせている。
「大切なのは球速だけではないとわかっていますが、個人的にはやはり、球速も意識していきたいです」と本音を明かす。目標の球速を聞くと、「いや、もう、とことん出しにいってみたいです」と笑った。投手は思い切り腕を振り、打者はフルスイングで応じるパ・リーグの雰囲気が、高田萌には合っているかもしれない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)