「何でコロコロ変えるんだと」 中日・与田監督が若手に求める“貫徹心”
最後までブルペン投球をしていた藤嶋、捕手・木下拓から“ツッコミ”も…
中日の春季キャンプ第3クール初日となった6日は、強烈な雨風に見舞われ、今季初の対外試合になるはずだったヤクルトとの練習試合は中止となった。若手を中心にブルペン投球を行なった中で、最後まで投げ込んでいたのは藤嶋健人投手。なかなか“終われない”事情もあったようで……。
投球を受けた木下拓哉捕手や、近くで見ていたブルペン捕手らから軽い“ツッコミ”が飛ぶ。「終わんねーぞ(笑)」。その言葉に苦笑いする藤嶋は再び腕を振り、審判のコールを待つ。「ボール!」。わずかにゾーンを外れ、悔しそうな表情で天を仰いだ。
「5球ストライクで終わるのはコーチからの指示です。今日は打席にたってもらって、セットを多めにして投げました。実戦ではセットが多くなりますし、しっかり試合を想定して練習していきたいです」
そう藤嶋はブルペン投球の意図を語る。5球続けてストライクに投げ込めたら終了。その“締め”がなかなか決まらずに苦戦した。ただ単にストライクに投じればいいのではなく、意図したコースに投げ切ること――。その重要さを、与田剛監督は力説する。
「『インコース行きます』と言って、投げ切れてないうちに『アウトコースで』という子たちが(監督就任当時から)多かった。まだ1球も(狙い通りに)投げられていないのに、何でコロコロ変えるんだと。練習から上手くいかないことに目を背けるような習慣を身につけたらいけない。我々も根気強くやっていくしかない」
ましてや藤嶋は中継ぎ。極限のマウンドを託され、たった1球が勝負を分けることも少なくない。そのためにも、練習段階から“投げ切る”ことを習慣づけておく必要があるというわけだ。プロ1年目から31セーブを挙げ、最優秀救援投手と新人王を獲得した指揮官の言葉だからこそ、余計に重みが増す。投手王国の再建へ、微細な部分こそ徹底していく。
(小西亮 / Ryo Konishi)