春夏甲子園V&元鷹・島袋洋奨が母校で指導者デビュー 「新たな責任」で聖地目指す
島袋洋奨氏が懇切丁寧に指導、我喜屋監督「明るい未来を見させてあげる指導を」
沖縄のレジェンドがとうとう母校・興南のグラウンドに降り立った。
2010年甲子園春夏連覇した元ソフトバンクでの島袋洋奨氏が、今月5日に学生野球資格回復者として認定されたことにより、晴れて指導者として12日の練習に初参加した。
島袋は一昨年にソフトバンクから戦力外となり現役を引退した後、2020年4月1日に興南高校の職員となる。そこから約10カ月の間、プロアマ規定により野球部員と一切接触することはできず、野球部の練習も隠れるように見ていただけだった。
「今まで悔しいというかもどかしい部分もありましたけど、これで堂々と指導できることは嬉しいことでもあり、また新たな責任も生じてきますので、より気を引き締めていかなくてはと思います。選手には常に高い意識でひとつの練習に取り組んでもらうためにも、僕も一緒になって身体を使いながら教えていきたいです」
精悍な顔つきがより引き締まった感じで話す島袋の瞳には、希望の光だけを見据えている。
現在、沖縄県独自の緊急事態宣言で練習時間が短縮される中、待望のコーチが加入したことで選手たちもよりやる気に満ち溢れた様子。左のエース山城京平投手は「春夏連覇した偉大な先輩が興南のコーチとして指導されることはすごく嬉しいとともに、自分たちも自覚を持って学び、春と夏に向けて頑張っていきたいです」と目を輝かせながら答えた。
百戦錬磨の我喜屋監督は厳しい顔つきを崩さずに話す。
「(島袋)洋奨は遠慮せずに自分がいいと思ったことをどんどん取り入れることが大事。社会人以外のカテゴリーはすべて経験しているのだから、選手たちに成功体験を与え、明るい未来を見させてあげる指導をしてほしい。彼が来たので、いつでも(監督)代わっても大丈夫ですよ」ジョークを交えながらもかつての教え子に対して大いに期待を抱いている。
一つひとつのトレーニングに対する意識を明確に植え付けることを念頭に置きながら選手たちに懇切丁寧にアドバイスを送っていた島袋。興南の新たな時代が今切り開かれた。
(松永多佳倫/Takarin Matsunaga)