鷹・工藤監督も「問題ない」と高評価 開幕ローテ入りに近づく23歳の7年目左腕
端々に滲む今季にかける想い「なんとかしがみついて」
各球団のキャンプで繰り広げられているポジション争い。各地で練習試合が始まり、これからのオープン戦を通じて開幕スタメン、開幕1軍を争うサバイバルが各地で本格化している。
2年連続のリーグ優勝、5年連続の日本一を狙うソフトバンクでは虎視眈々と開幕ローテ入りを狙い、それに着々と前進している7年目の左腕がいる。23歳の笠谷俊介投手だ。
20日に行われた宮崎キャンプ3度目の紅白戦。紅組の先発としてマウンドに上がると、先頭の牧原に中前安打を浴びたものの、柳町を併殺に斬ると、2イニングを投げて1安打無失点。安定した内容に工藤公康監督も「内容に関しては問題ないと思います」と高く評価し、ローテ入りに前進した。
開幕ローテ入りを目指す笠谷はこの日の登板である“試み“を行った。登板前のブルペンで70球前後の投げ込みを行い、そこから紅白戦へ。通常はブルペンで20球前後の投球練習を行ってマウンドに上がり、球数が足りなかったり、課題を修正するためにブルペンで投球練習を行うが、その逆で臨んだ。
「先発するにあたってゲームに投げに行くというより、球数を投げていくというのをやってみたいなというのがありました。いい練習になったと思います」
笠谷が球数を投げることと共に目指したのは試合の中で、ある程度疲れた状態でしっかり体を、特に下半身を使って投げることだった。フレッシュな状態でマウンドに上がっても、体が疲れていなければ、修正もさほど難しくない。体が疲れた状態で乱れを修正することをこの段階で取り組んでおきたかった。
ローテ入りに向けた並々ならぬ意欲の現れとも言える。「先発したいと言ってきて、勝ち取れるところまで来ている。なんとかしがみついて、先発に入れるようにやるだけですね」と語る姿には、今季にかける思いがヒシヒシと滲む。
先発陣では千賀滉大投手、東浜巨投手が出遅れており、外国人の来日も不透明なまま。他の先発投手候補にとってはチャンス。だが、笠谷は「(2人は)帰ってきたら投げると思いますし、それまでに結果を出せるものだけ出せて信頼されるようになれば、ローテを守って投げられると思います」と語る。
虎視眈々と狙うのは千賀、東浜が戻ってきた時でさえ、揺るがない確固たる先発ローテの座だ。昨季はプロ最多となる20試合に投げ、4勝をマークした笠谷。今季はローテ候補の有力な候補になっている。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)