田中将大、8年ぶり登板で実感した国内マウンドの戸惑い 織り込み済みの計算とは
ヤンキースではこの時期「ブルペンでしか投げていなかった」
そもそも田中将のキャンプ合流直後の時点で、石井一久GM兼監督と小山コーチは「今の日本では、この球場のマウンドが1番柔かいくらいだから」と伝えていた。この日の登板を迎えるまでに5度ブルペンに入っていた田中将は「ブルペンも試合のマウンドも同じような感じでしたが、ゲームの出力というか、エネルギーの使い方があるので、自然とブルペンとは変わりました」と振り返った。
日本野球には7年間のブランクがある田中将。過去に実績があるとはいえ、やはり日本のマウンド、ボール、登板間隔、生活リズムなどの感覚を取り戻すには、それなりに時間が必要だ。だからこそ、先月30日に入団会見を開いたばかりにも関わらず、第2クールの初日の今月6日という早い時期にキャンプに合流した。初の実戦登坂に臨んだこの日にしても、メジャーならキャンプ直後の時期。田中将も「アメリカに渡った7年間は、まだブルペンでしか投げていなかった」と苦笑する。
「早め早めにいろんなことを感じたい、というのがあった」と田中将。順応に苦労することは織り込み済みで、開幕から逆算しキャンプ合流、実戦登坂のスケジュールを練っていたわけだ。石井監督も「(開幕までに)あと4~5回登板できる。日本の野球とのズレを徐々に擦り合わせていける十分な時間がある」とうなずいた。
田中将は復帰会見で「ワールドシリーズに出てチャンピオンリングを手にしていない。そこはメジャーでやり残した部分」としながらも、「腰掛けのつもりではなく、本気で日本一を取りに行きたいと思っての決断」と強調した。全力でもう1度日本野球に順応しようとしている姿がここにある。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)