「野球が進んでいない」 元日ハム守護神、武田久氏が感じるアマ球界の問題点とは

15年間過ごしたプロからアマチュア球界に戻り感じたこととは【写真提供:日本製鉄東海REX】
15年間過ごしたプロからアマチュア球界に戻り感じたこととは【写真提供:日本製鉄東海REX】

練習漬けだった駒大時代は体重が減り、球速が上がらなかったという

 苦い思い出がある。駒大時代は夏場の一番暑い時期にポール間往復走を40本行い、投げ込みは毎日100球が当たり前だった。練習時間も午前8時半から午後5時までと長かった。「プロでのベスト体重は73キロでしたが、大学生の時は65キロでした。痩せないと練習についていけないんですよ。ウエートトレーニングはやらず、ただ投げて、走って。そりゃ、筋肉も削ぎ落とされます」と苦笑しながら振り返る。それを乗り越えた人たちが猛練習を美化する場面に遭遇することもあるが、武田氏は「逆に潰れていった選手もいっぱい見ているので、紙一重だと思いますよ」と冷静だ。

 結局、入学時143キロだった最速は4年の秋に144キロと1キロしか伸びなかった。「疲れて、走らされて、筋力もないところに追い討ちをかけるように毎日投げ込みをしていたら、球は速くならないですよ。ただ、当時はそれが当たり前だと思っていたし、正解かどうか考える余裕もなかったですから。今みたいにちゃんと考えて練習できていれば、たぶん大学の時に150キロ近く出ていたはずです」と語る。

 日本通運を経てドラフト4巡目で入団した日本ハムで、コンディショニングの大切さを学んだ。最初は「こんなのでいいのか」と練習量に物足りなさを覚えたという。だが、トレーニングから休養、栄養、睡眠まで全てひっくるめてコンディショニングであることを知った。「ファイターズでは、効率良くやるところはやるということで、根拠に基づいてやってきました。両方経験してきた僕が、これから伝えていかなければいけないのは根性野球ではないと思っています」と確信を持って指導にあたる。

 日本ハム引退後の2018年から古巣の日本通運で2年間、選手兼任コーチとして活動し、昨年から日本製鉄東海REXのコーチを務めている。15年間過ごしたプロからアマチュア球界に戻ってみると「野球が進んでいない」と感じたという。「長時間みんなで練習することの良さもあるとは思います。でも、それが試合にリンクしているのかなって。ウエートトレーニングはやらず、投げ込み、走り込みというアマチュアの大学、社会人は今でも結構あると思います」と語る。

長時間の全体練習に疑問、個人練習が効率的と指摘する

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