ガム噛みながら練習する子どもたち “型破り”な野球塾が支持されるワケ
所属するチームで怯えながらプレーする子も…“野球は楽しい”本質伝える
ミスを肯定的に捉えるか、否定的に責めるか――。その差が生まれる原点は、どの世代もトーナメントが主流の日本と、リーグ戦が多い米国の違いだと長坂さんは見る。「負けたら終わりの状況で、ミスは許されないという考えになるのは仕方ないですね。当然、控えの選手を試すこともできず、勝てるメンバーを結果的に酷使することにもなる」との持論がある。
だからこそ野球塾では、“野球は楽しい”という本質を求める。ガムを噛みながらやるのだってそう。「少年野球のチームや高校の部活では絶対無理ですからね。ここでしかできない経験でしょうし、何よりメジャーリーガーっぽいじゃないですか」と笑う。
受講する子どもたちの多くはチームに所属し、技術向上の補助的役割を求めて野球塾に通う。チームでは控えに回っている子も少なくない。指導者から怒られないために怯えながらプレーをしている姿もにじむ。いつの間にか“やらされている”感覚に陥っている子たちに、新たな考え方を提示したい。
レッスンの時間は、あっという間に過ぎていく。ある子がプクーっとガムを膨らませ、トスされたゴムボールをジャストミートした。長坂さんは、誰よりも無邪気に喜んで言う。
「完璧じゃん! 最高のスラッガーだ!」
(小西亮 / Ryo Konishi)
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