元ロッテ・チェン、CPBLドラフトでは注目の的に 社会人チーム所属で3月末に登板へ
どの球団が指名? 気になる所属先
日本で実績のあるチェンが、なぜ社会人チームを経てからCPBLのチームに入団するのか、疑問に思われた方もいるだろう。これは、CPBLドラフト会議の開催時期、そしてルールが関係している。CPBLでは以前、オフシーズンにドラフト会議が行われてきたが、義務兵役の廃止をきっかけに、毎年6月に卒業する高校生の国内引き止めも考慮し、2013年の6月、初めて高校生のみを対象とした高校生ドラフトが行われた。この時は11月に一般ドラフトも行われたが、翌年以降は、シーズン中の6月末ないし7月初旬に、一括して行われるようになった。
また、過去の特例についての説明はここでは省くが、海外のプロリーグでプレー経験がある選手も、基本的にCPBLのドラフト会議にかかるルールとなっている。そのため、これまでも前年のオフに海外チームを退団した選手が、ドラフト会議までの約半年間、調整やプレーの場を求め、台湾のプロ、アマチームや、日本の独立リーグと契約するケースがみられた。
CPBLのドラフト会議は完全ウェーバー制で、前年の下位チームから独占的に指名権が与えられる。今年の指名順は、昨季、年間最下位の富邦ガーディアンズ、楽天モンキーズ、中信兄弟、そして、台湾シリーズ優勝の統一ライオンズ、さらに、今年から1軍に参入するため、くじ引きで指名順を決め5番目となった味全ドラゴンズ、という順である。
新型コロナウイルスの影響もあり、現在、海外でプレーしていた多くの台湾代表クラスの選手が自由契約となっているが、2月25日、各チームの指名方針ならびにチェンの未来の所属先を左右する大きなニュースが入った。富邦が、プレミア12代表右腕、江少慶と「自行培訓(練習生に相当)」契約を結び、ドラフト会議でも指名する事を明らかにしたのだ。報道によると、富邦は昨年12月初旬、「いの一番」の指名権を獲得後、江少慶側に接触、その時点で日米9球団からオファーを受けていたという江少慶だったが、CPBL史上最高額の契約金を確約するという富邦側の「誠意」を受け、富邦入りを決意したという。富邦の江少慶指名が事実上決定した今、チェンは、指名順位2位の楽天以降のいずれかのチームでプレーすることが濃厚となった。
ちなみに、江少慶のCPBL入りが明らかになる前は、チェンが「状元(「科挙」の試験の首席合格者になぞらえ、ドラフト1巡目1位指名選手をこう呼ぶ)」となる可能性は高いと見られており、日本時代によく食事に誘ったという郭俊麟と、富邦でチームメイトになる可能性も取りざたされていた。ただ、チェンは「特にどこのチームでなければ、というこだわりはない。どのチームにも仲のいい選手はいる」と述べており、自分自分がしっかり調整することこそ重要だ、と気を引き締めている。