衝撃的だった“ロッテ澤村拓一”の「幕張剛腕伝説」 嵐の如く過ぎた日々を振り返る

重要な一戦で先輩から受けたバトン“燃えないワケがないでしょう”

 11月、ロッテは2位・西武と一進一退の攻防を繰り広げていた。迎えた11月5日はフトバンクとの一戦。この日の先発は澤村の中大野球部時代の先輩でもある美馬学投手だった。試合は3対1でロッテが2点リードして迎えた8回、2死2塁のピンチを迎える。打席には、代打・デスパイネ。一発が出れば試合は振り出しに戻ってしまう。

 ここで、井口資仁監督は澤村をマウンドへ送る。落とせない一戦で、かつてのチームメートでもある美馬から受けるバトン。こんな場面で燃えないわけがなかった。美馬が祈るように見つめる中、澤村は2球で追い込む。そしてカウント1-2からの4球目、152キロのスプリットを投じデスパイネを空振り三振に抑えた。

 三振を奪った澤村はベンチに戻り美馬とグータッチを交わすと、ようやく笑みをこぼした。ここでリードを守り切ったロッテは直後に追加点を挙げ勝利。2位・西武に食らいついた。「パーソル パ・リーグTV」の公式Youtubeチャンネルでは「【超力投】澤村拓一 “このマウンド”で『燃えないワケがないでしょう』」として、その一部始終をまとめている。

 ロッテでの活躍によってMLBのスカウトの評価も急上昇した。澤村自身もかねてより夢見ていたメジャーの舞台。ロッテ側も海外FA権を行使することを認め、その交渉の行方は大きな注目を集めていた。そして日本時間2月17日、ついにレッドソックスと契約合意したことを正式発表した。澤村の武器である力強いストレートと150キロを超えるスプリットにさらに磨きをかけ、更なる進化を遂げることに期待したい。

 多くのファンを熱狂させ、多くの選手に背中で”強さ”を示した澤村。パ・リーグに在籍した期間はわずか数か月だったが、背番号「57」が残したインパクトは大きなものだった。これからも澤村がパ・リーグにいたことを誇りに思い応援したい。

(「パ・リーグ インサイト」小野寺穂高)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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